2022年は長野県の諏訪大社で「御柱祭」が開かれる年だ。正式名称を「式年造営御柱大祭」といい、数えで7年(実際は6年)に1度、宝殿のつくり替えと社殿脇の4本の柱を建て替える。諏訪大社は上社の前宮と本宮、下社の春宮と秋宮の4カ所の境内地から成る。その本宮では19~25年にかけて文化財9棟などの修理事業が進んでいる。
文化庁によると近年、文化財の修理要望件数が増加している。そのため要望に応えられず修理が遅れる文化財が出てきている。適正な周期で修理をしなければ文化財の価値を損ねることになる。木造建造物の文化財について、20年度は153件の要望があったが、事業として採択されたのは132件にとどまった。
こうしたことから文化庁は21年12月24日、文化財の持続可能な保存や継承体制の構築を図ることを目的とした「文化財の匠プロジェクト」を作成した。22~26年度の5年間で目指す数値目標を定めた計画だ。同庁は22年度当初予算案に、文化財の匠プロジェクトによる継承基盤の整備として約252億円を計上。木造建造物の年間修理事業件数の拡大や防火・耐震対策などに取り組んでいく。
文化庁は同プロジェクトの重点的な取り組み内容として、(1)文化財の保存・継承のための用具や原材料の確保、(2)文化財保存技術に関わる人材養成と修理などをする拠点の整備、(3)文化財を適正な修理周期で修理するための事業規模の確保──を挙げた。
このうち文化財を適正な修理周期で修理するための事業規模の確保として、文化財の年間修理事業件数の拡大などを挙げている。木造建造物については予算ベースで21年度の137件から26年度に161件へ増やす。22年度当初予算案において建造物の保存・修理事業には、文化財の匠プロジェクトの予算案全体の半分近くとなる約112億円を計上した。