新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。全国で連日数千人が新たに感染している。
都道府県や市町村は感染者数だけでなく、感染者のプロフィルなどの情報も公表する。こうした情報はコロナ禍の行動変容を考えるのに役立つ。
ただ感染者に対する中傷や嫌がらせが各地で発生しているため、地方自治体は公表する情報から感染者を特定できないように神経質になっている。例えば高松市では2021年1月16日と18日、コロナに感染した同市のプロサッカー選手を「会社員」と公表した。選手の所属チームが選手のコロナ感染を明らかにしていたので、「市がどうして隠す」として物議をかもしたほどだ。同市は「感染者の特定を防ぐためだった」と説明している。
一方で、感染者の個人情報を流出する事件が後を絶たない。福岡県は2021年1月6日、県内で感染が確認されたほぼ全員に当たる9500人分の名前や居住地などを載せたファイルが、インターネットで公開された状態にあったと発表した。
福岡県以外にも、愛知県や奈良県、盛岡市、横浜市、名古屋市、神戸市などが感染者の個人情報を流出させている。どうしてここまで相次ぐのか。
明らかになっている流出事故の概要を見てみよう。
自治体名 | 公表時期 | 概要 |
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愛知県 | 2020年5月 | 感染者495人分の個人情報を含むコロナ感染事例の一覧表をWebサイトに掲載した。個人情報を削除する前のデータを誤って使用したことが原因。 |
神戸市 | 9月 | 感染者1人の名前と住所などを市のWebサイト掲載した。掲載予定とは別の資料を間違えてスキャンし、そのままアップロードしたことが原因。 |
横浜市 | 10月 | 感染者が見つかった施設に送付した調査票のエクセルファイルに、以前の調査で記入された76人分の個人情報が含まれていた。個人情報を含むファイルだと気づかなかったことが原因。 |
盛岡市 | 12月 | 感染者1人の名前とその家族の職業を、本来匿名で公表しているコロナ関連のWebサイトに掲載した。市の広聴広報課が誤って個人情報を残したまま掲載したことが原因。 |
名古屋市 | 12月 | 感染者100人の情報をWebサイトに掲載する際、その感染者に接触した可能性がある人の名前も掲載した。接触者の名前を記入した欄を削除し忘れたことが原因。 |
奈良県 | 2021年1月 | 感染者1人の名前と住所、勤務先に加え、その接触者7人の個人情報などをWebサイトに掲載した。アップロードするファイルを取り違えたことが原因。 |
福岡県 | 1月 | クラウド上で共有していた感染者9500人分の個人情報を載せたファイルが、第三者が閲覧できる状態だった。メールの誤送信や対処のミスが原因。 |