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 「もしも自宅で倒れたら、誰が気づいてくれるのだろう」。今、多くの人がそんな不安を抱えているのではないだろうか。新型コロナウイルスの感染拡大は止まらず、厚生労働省が2021年1月22日に公表した全国の自宅療養者は3万5394人、1カ月余りで約5倍に膨れ上がった。新型コロナの感染以外にも、医療機関に行くことをためらって自宅で持病が悪化するケースもあり、自宅での異変にどう対応できるかが全国的な課題となっている。

 そうした中、最新技術を使って居住者の健康をサポートする「未来の家」に向けた研究開発が進んでいる。積水ハウスは20年12月、一部の戸建て住宅を対象に、非接触型センサーで居住者の体調異常を感知するシステムの実証実験を始めた。心拍数や呼吸数などを測定し、自宅での死亡者数が多い脳卒中などによる異変を察知できるようにする。

非接触型センサーを使って、居住者のバイタルデータを検知する実証実験を積水ハウスが開始した。写真は都内某所のモデル棟で、寝室天井にセンサーを組み込んだ例を2020年12月に撮影(写真:日経アーキテクチュア)
非接触型センサーを使って、居住者のバイタルデータを検知する実証実験を積水ハウスが開始した。写真は都内某所のモデル棟で、寝室天井にセンサーを組み込んだ例を2020年12月に撮影(写真:日経アーキテクチュア)
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 20年1月に米国・ラスベガスで行われたデジタル技術見本市「CES2020」で、同社は「在宅時急性疾患早期対応ネットワークHED-Net」を構築することを発表した。HED-Netは大きく5つのプロセスを想定している。初めに、住宅内の非接触型センサーで居住者のバイタルデータを検知・解析。もしも異常があれば、通報センターに知らせる。そしてオペレーターが居住者に呼びかけて安否を確認し、問題があれば救急に出動を要請。救急隊が住宅内に入れるよう、玄関を遠隔解錠するという流れだ。研究開発には、積水ハウスの他に、コニカミノルタ、NECなど複数企業が参加する。積水ハウスによれば類似サービスはなく、世界初となる。

積水ハウスが掲げる「在宅時急性疾患早期対応ネットワーク HED-Net」のサービスイメージ(資料:積水ハウス)
積水ハウスが掲げる「在宅時急性疾患早期対応ネットワーク HED-Net」のサービスイメージ(資料:積水ハウス)
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 新たに始まった実証実験ではその第1段階となる、バイタルデータの検知・解析のみを検証する。首都圏で新たに建てる戸建て住宅、合計約30棟を対象として、寝室などに非接触型の生体センサーを取り付ける。実施期間は約1年間を予定している。

 20年12月、都内某所にある同社のモデル棟で、先行してセンサーを取り付けた寝室を見学できるというので、早速行ってみた。HED-Netのプロジェクトを中心となって進めている同社執行役員の石井正義・プラットフォームハウス推進部長は、「最近は腕など身に着けるデバイスでも簡単にバイタルデータを測定できるようになった。しかし、脳卒中などは突然倒れることがある。普段の暮らしの中で、無意識のうちに計測できることが大事ではないかと考え、非接触型のシステムに強くこだわった」と説明する。