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 新たな業務で必要となる知識や技術を習得するリスキリング(学び直し)。最近では企業のDX(デジタル変革)に不可欠な人工知能(AI)や高度なデータ分析といったデジタル技術を社員に習得させるために、リスキリングに取り組む企業は多い。

 しかし業務で触れたことのない知識や技術を身に付けるのは簡単ではない。目で見て、実際に体感しないことには、その有用性や勘所が分からないからだ。こうした新しい知識や技術を効果的に学ぶにはどうすればいいのか――。

新しいことに挑戦したい

 記者は2022年に新たな資格取得にチャレンジした。ただしITに関する資格でもなければ、業務に直結する資格でもない「第二種電気工事士試験」である。新型コロナ禍で何か新しいことに挑戦したいと思い、実生活(埋め込みLED照明の付け替えなど)に役立つ資格取得に挑戦することにしたのだ。

 第二種電気工事士試験には、マークシートによる筆記試験と工具を用いる技能試験があり、合格率は比較的高い。ただし記者は中学レベル(オームの法則など)の知識はあるが、電気工事については素人。つい最近まで電気コンセントにN(ニュートラル)があることすら知らなかったレベルである。

 そのまま試験に臨んでも合格する見込みは薄いが、できることなら一発で合格したい。そこで記者は家族に試験を受けると宣言し、勇んで参考書や対策工具を購入。早速、資格取得に向けた勉強学習を始めた。

記者が購入した工具
記者が購入した工具
(写真:日経クロステック)
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 勉強は全くうまくいかなかった。まず困ったのは用語と用途が理解できないことだった。筆記試験の問題は公開されている。しかし電気工事は現在の仕事・業務内容とは全く関係ないため、問題に登場する用語が分からない。法令のような座学は覚えられるが、電気工事をしたことがないため工具を実際に使っている様子が分からないのだ。