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 日本電産が2021年1月25日に開催したオンライン決算会見で、とても興味深いシーンがあった。ある製品分野への巣ごもり需要の恩恵を尋ねる質問に対し、同社代表取締役会長兼最高経営責任者(CEO)の永守重信氏が「巣ごもり需要なんて知らない」と返答したのだ。

日本電産代表取締役会長兼最高経営責任者(CEO)の永守重信氏
日本電産代表取締役会長兼最高経営責任者(CEO)の永守重信氏
(オンライン決算会見の画面キャプチャー)

 質問者が「資料には巣ごもりとありますが……」と再度尋ね、ほんの一瞬だけ気まずい空気が流れた(ように記者には感じた)。

 というのも、同社が発表した資料では、売り上げを大きく伸ばした精密小型モーター(HDD用モーターを除く)について、「巣ごもりなどの新規需要を次々取り込む」と説明されていた。質問者もこれに沿って尋ねたわけだが、永守氏はその説明ごと否定してしまった格好である。

精密小型モーター事業の業績に関する説明資料
精密小型モーター事業の業績に関する説明資料
(出所:日本電産)
[画像のクリックで拡大表示]

 永守氏はその食い違いについて次のように説明した。

  • 精密小型モーターが使われる家電などでは省エネルギー化という基本的なニーズがあり、それに対応した新製品を大量に投入した成果が表れた
  • 巣ごもり需要で家電の売り上げが大幅に伸びたというような話ではなく、家電に使われるモーターの変化による需要を捉えた
  • そもそも巣ごもり需要のような一過性の現象に興味はない
  • IR担当者がはやりの言葉を入れようとしたのではないか
  • 資料の説明には気づいていて修正を指示しようとしたが、たいしたことではないのでそのままになった

 最後のほうはIR担当者に同情を禁じ得ないが、短時間ながら多くの示唆が得られたやり取りだった。