全1033文字
PR

 2023年1月23日に第1回表彰式が都内で開かれた「OCAJIプロジェクト賞」。国内の建設会社が海外で手掛けた建築・土木の施工実績を評価するために、海外建設協会が新しく設けた。この表彰制度を見て、建設会社が持つ施工技術を海外に売り込む難しさを改めて実感した。

 受賞した11件のプロジェクトの詳細をまとめた冊子には、工期の詳細な内訳や総工費など定量的な記載が少ない。「発注者が頻繁に設計変更を実施した」「超軟弱層が含まれる地盤に対処しながら営業施設の間近で施設やトンネルを施工した」といった定性的な情報は書かれているが、難易度を正確に推し量ることは難しい。

「第1回OCAJIプロジェクト賞」の作品集。建築・土木の工事計11件を表彰した(写真:日経クロステック)
「第1回OCAJIプロジェクト賞」の作品集。建築・土木の工事計11件を表彰した(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 もちろん発注者との守秘義務があるため、開示情報には限度がある。しかしプロジェクトの詳細な図表や文書を約2カ月にわたって読み込んだ選考委員会からも問題提起が出た。委員の1人、関東学院の規矩大義理事長は表彰式の講評で「資料からだけでは、努力の過程が読み取りにくい点があった」と語った。

 プロジェクトの実施国や発注者はまちまちなうえ、施工条件や施工対象も異なる。定量的な情報が限られるからこそ丁寧な説明が欠かせない。

 規矩理事長は「国際社会では直接面談して詳しく説明できる場面は少ない」とも指摘する。プロジェクトの現場にいない読み手に分かる形でアピールすることが重要だと説く。