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 厚生労働省が2021年1月29日、2020年の平均有効求人倍率は1.18倍だったと発表した。これは前年と比べ0.42ポイント下回る。有効求人は前年比21%減、有効求職者は6.9%増だった。概況としては、求職者に比べて求人が減ったということだ。理由の1つとして新型コロナウイルスの感染拡大の影響が大きいだろう。

 ただしこれは全体の話。IT分野に絞ると、「デジタルトランスフォーメーション(DX)人材」が求められているとよく聞く。ことITエンジニアは企業のDX戦略に不可欠なので、人材不足が続いている。

 パーソルキャリアの転職サービス「doda(デューダ)」の編集長で人材採用や転職動向に詳しい喜多恭子氏は「コロナ禍で売り手から買い手市場に変わった。ただし技術系は我々の調査では2020年12月の求人倍率が前月比8.08。人材不足が解消されたとはいえない」と話す。

 「人材の枯渇感」をデータで可視化した。2020年のIT求人の推移を件数と月給額の動きで見てみよう。データは求人に特化した営業支援ツール「客ココ便利くん」を手掛ける方正が、正社員エンジニア(システムエンジニア、Web技術者、インフラエンジニアなど)への求人に絞って独自に収集・集計した。対象サイトはタウンワーク、リクナビNEXT、マイナビバイトとマイナビ転職。対象期間は2020年1~12月。

2020年中ごろが底、その後は徐々に回復

 まず求人件数の推移を見る。求人件数は2020年3月をピークに減少傾向を示す。6月に底を打ち、緩やかに上昇した。

エンジニア求人件数(2020年、東京/大阪/名古屋の合計)
エンジニア求人件数(2020年、東京/大阪/名古屋の合計)
方正が集計したデータを基に日経クロステック作成、以下同
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求人件数の増減
求人件数の増減
2020年1月を100%としたときの推移
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 1回目の非常事態宣言が発出されたのは2020年4~5月にかけて。ほぼ1カ月以上遅れて求人の底がきた理由を喜多編集長は「多くの企業でコロナ禍がどういうものか見通せず、様子見だった」という。その時点ではリモート態勢を構築できたのは一部の企業にとどまる。多くは整備に時間がかかっていた事情もあり、求人についても自社へのインパクトを検討していたと分析する。

 記者が「リモート面接」の存在を初めて知ったのは2018年。そのときはデジタル面接、動画面接などと形容していた。遠隔で面接すれば地方在住者に便利だなと思った程度で、3年後に面接はもちろん、対面業務の代替手段として必須機能になるとは想像できなかった。