全2865文字
PR

 鹿島と竹中工務店、ライバル関係にあるスーパーゼネコン同士が、建設ロボットやIoT(モノのインターネット)技術の開発で異例の協業――。2020年1月30日の会見に出席した筆者は、大学で建築を学んでいた頃のたわいない「妄想」を思い出していた。もしスーパーゼネコン同士が合併したらどんな社名になるかという、言葉遊びのようなものである。

 例えば、「竹林戦争」と呼ばれる受注競争を演じてきた積年のライバルである竹中工務店と大林組が経営統合するとしたらやはり「竹林建設」だなどと、各社に取材する立場となった今から考えれば、ずいぶん失礼な話をしていたものだ。とはいえ、安藤建設とハザマが合併して安藤ハザマになったりするから、世の中は分からない。竹中工務店と鹿島なら「竹島建設」かなどと、またしても妄想してしまった。

左は鹿島建築管理本部副本部長の伊藤仁常務執行役員。右は竹中工務店技術本部長の村上陸太執行役員(写真:日経アーキテクチュア)
左は鹿島建築管理本部副本部長の伊藤仁常務執行役員。右は竹中工務店技術本部長の村上陸太執行役員(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

 鹿島と竹中工務店は、両社が開発したロボットを相互利用しながら改良を施すほか、資材搬送の自動化や、建設機械の遠隔操作などに共同で取り組むという。会見で両社は「他社の参加もウエルカムだ」と呼びかけた。既に何社かには内々に参加を打診している模様だ。

 会見で、2社がより踏み込んだ関係に至ることはあるかと問われると、竹中工務店技術本部長の村上陸太執行役員は「それは上の人に聞いてください」と笑顔でかわしていた。両社は、今回の協業はあくまでロボットなどの開発に限ったものだとしている。

 しかし筆者は、こうした動きが建設業界に広がれば、2社がどうするかはともかく、将来の業界再編の素地になるのではと感じた。筆者が学生だった15年ほど前なら「あり得ない組み合わせ」も、これからは先入観を捨てて見ていく必要がありそうだ。なぜそう感じたのか、以降で整理してみたい。

(関連記事:鹿島と竹中工務店がロボット開発などで異例の協業、ライバル3社はどう動く?

 そもそも両社の協業の目的は、これまで個別に進めてきた「似たような研究開発」を共同で実施して無駄を省き、建設ロボットの普及を加速させることにある。

 鹿島や竹中工務店のようなスーパーゼネコンに代表される建設会社は、近年の好業績を背景として研究開発費を大幅に積み増してきた。将来の市場の冷え込みや人手不足に備えて、本業である建設事業の生産性を高めつつ、新たな事業の柱を育てる狙いがある。建設ロボットの開発やIoT技術への投資は、各社にとって極めて重要な位置付けとなっている。

鹿島と竹中工務店が資材搬送の自動化に向けて共同で開発する場内搬送管理システムの概要(写真:日経アーキテクチュア)
鹿島と竹中工務店が資材搬送の自動化に向けて共同で開発する場内搬送管理システムの概要(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]