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 先日ある大手システムインテグレーターで、高度人材雇用制度を利用して入社したエンジニアに取材する機会を得た。セキュリティー分野の高い専門性を買われて入社し、同社のセキュリティー事業で中核となる役割を担い活躍中だ。

 ここでいう高度人材雇用制度とは、社員の多くに適用する雇用制度とは別に、高額な報酬を設定するなどして高度なスキルや専門性を持つ人材を雇用する制度を指す。AI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)、クラウド、セキュリティーなど、専門分野での人材不足を背景に、そうした制度を整備して人材確保に乗り出す大手ITベンダー/システムインテグレーターが増えている。

 冒頭のセキュリティーエンジニアにどうやって高い専門性を身につけてきたのかを聞いたところ「所属する組織とは関係なく、興味のあることを貪欲に学んでスキルを磨いてきた」という。今の会社に転職した動機は「これまでとは異なる新しいことをやってみたかったから」と説明する。

 取材の中で印象に残った言葉の1つが「自分は就職氷河期世代ど真ん中だから」というものだ。

 就職氷河期は企業が人材の採用を抑え、学生の就職活動が困難を極めた時期である。一般に1990年代半ばから2005年ごろまでが就職氷河期といわれる。年齢でいうと現在30代後半から40代後半に当たる世代が就職活動をした時期だ。就職活動で苦労し、社会人になってからは過去の年功序列の昇進制度の恩恵を受けることなく実力主義で自身のスキルを磨いて勝ち残ってきた世代といえるかもしれない。

 そもそも人材のタイプを世代でひとくくりにして議論することはナンセンスだ。そうとは思いつつ、バブル時代末期に就職活動を経験した筆者にとっては思い当たる部分がないとはいえない。同世代の多くが就職活動を比較的楽に乗り切り、学生時代は自分磨きをするよりも遊びに一生懸命な人が多かったように思う。

 前出のセキュリティーエンジニアは、自分だけでなく周りにも貪欲にスキルを磨くタイプのエンジニアが多いと話す。以前の会社で同僚だった同世代の多くが別の会社に転職したが、皆それぞれにステップアップして活躍しているという。

 この話を聞いて筆者は、今後企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を支えるのは、就職氷河期を経験するなどの苦労を通じて自身のスキルを高めることへの貪欲さを身につけ、新しいことにチャレンジしようという思いが強い世代ではないかと感じてしまったのだ。

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