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 政府はデジタル庁設置法案などデジタル改革関連6法案を国会に提出した。そのデジタル庁に、長官ポストが無いことをご存じだろうか。政府はデジタル大臣への進言や庁務の整理が職務の「デジタル監」に民間人材を起用する方針だ。だが肝心の霞が関では、期待よりも懐疑的な見方が早くも広がっているようだ。デジタル庁が霞が関にデジタル変革をもたらす組織になるためには何が必要だろうか。

 政府が閣議決定したデジタル庁設置法案によると、デジタル庁のトップは首相である。復興庁に長官ポストが無いのと同様に、デジタル庁長官というポストは実は存在しない。復興担当大臣がいる復興庁と同様にデジタル大臣がおり、行政機関に資料の提出や報告を求めたり、勧告したりできる「強力な総合調整機能」を持つ。

従来型組織からの脱却を狙うデジタル庁

 デジタル庁の職員はデジタル事務官、デジタル技官などと呼び、事務次官級のデジタル審議官から非常勤職員を含め全体で約500人規模になる。政府は内閣情報通信政策監(政府CIO)の後継となる特別職のデジタル監や職員の2割を企業など民間から採用する方針だ。自治体向けシステムを手がけるITベンダーの幹部は「デジタル庁の人材募集に、希望する社員を応募させている」と明かす。人材を送り込む必要があると判断したためだ。

 政府関係者によると、デジタル庁は局や課といった従来型の組織ではなく、プロジェクト単位でチーム構成を柔軟に変えられるように「所掌を固定した課を作らない統括官、参事官方式にする」という。既存省庁の出身者が同じポストを引き継いで、出身官庁の利益を代弁するような組織にしないという意図がある。

 デジタル庁は施策の実施や関係行政機関との調整を担う「デジタル社会推進会議」を設置する。議長は首相である。デジタル政策に関わる数々の計画の策定や実行を担うほか、国などの情報システムを統括・監理する。重要なシステムは自ら整備する。

 さらに自治体の情報システムの標準化・共通化も担う。マイナンバーやマイナンバーカード、法人番号の利用や情報提供ネットワークシステムの設置や管理、オンラインでの本人確認や、公的基礎情報データベース(ベース・レジストリ)などのデータの標準化、外部連携に関わる政策の企画立案など、内容は多岐にわたる。

デジタル庁の業務/予算のイメージ
デジタル庁の業務/予算のイメージ
(出所:デジタル・ガバメント閣僚会議「デジタル改革関連法案ワーキンググループ作業部会とりまとめ」2020年11月20日付)
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