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 ある海外のニュースサイトに見慣れないグラフが載っていた。転職者がどの企業からどの企業へ転職したかというデータを可視化したもので、分かりやすいかというと実はそうでもないのだが、それを差し引いても余りあるインパクトを持つおしゃれなグラフだ。可視化したいデータも持っていないのに「自分もこんなグラフを描いてみたい」と不純な動機で挑戦してみた記者だったが、1歩目から壁にぶち当たる。グラフの名前が分からないのだ。

作りたかったグラフのイメージ
作りたかったグラフのイメージ
(出所:日経クロステック)
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 ちまたでは米Microsoft(マイクロソフト)が検索エンジン「Bing」に対話型の人工知能(AI)を搭載し話題になっている。ユーザーは対話形式で検索をかけることで、今までより的確な回答を簡単に得られるようになるだろう。しかし検索窓に何を入力すればいいかすら分からない場合はAIの力も借りようがない。

 グラフの名前が分からないので、まずはグラフの見た目から連想されるワードを強引に言語化して検索してみることにした。「リボン にょろにょろ グラフ」・・・当然こんなワードでヒットするわけもない。次に、似たようなデータの可視化事例を探してみた。転職業界ではよく使われる手法かもしれないとあれこれ調べてみるも見当たらない。よく考えればそもそもこのグラフが目新しいから記者の目にも留まったわけで、よく使われる手法ならスルーしていたはずだ。

 画像検索という解決策にはなぜかたどり着けないまま、手をかえ品をかえ1時間以上格闘しただろうか。理系出身なのにデータに弱いというのは何とも恥ずかしい話だが、ついに己の無知と無力を受け入れ、素直に人に頼ることにした。幸いなことに記者にはデータサイエンティストの友人がいる。チャットで「このグラフの名前教えて」と画像付きで聞くとものの数分で返事があり、グラフの名前はもちろんのこと、たくさんのグラフが掲載されている資料サイトまで教えてくれた。

 どうやらその図は「沖積図(alluvial diagram)」あるいは「サンキー図(Sankey diagram)」というらしい。正体が分かってしまえば、あとは「沖積図 描き方」と検索エンジンに入力すれば解決だ。いくつもある描き方の中から最終的にはRの「ggalluvial」というパッケージを使用することにした。こうして名前も分からない状態からグラフを描画するところまで到達し、後日ちゃんと記事にも役立てることができた。