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東北大学は量子コンピューターを利用へ

 研究者たちは、新たな健康の未来の実現に向けてもう走り始めている。医薬基盤・健康・栄養研究所は2019年4月にAI健康・医薬センターを設立し、AI創薬の研究を進めている。そこに2020年4月、AIで栄養を研究する部門を新設する計画だ。

 日本の栄養学の歴史は古い。医薬基盤・健康・栄養研究所傘下の国立健康・栄養研究所は2020年で創立100周年を迎える。長い歴史で培った知見を情報科学で生かしていく。

 東北大学は2020年2月からカナダD-Wave Systemsの量子コンピューターを用いた研究を進めていく。同研究は前述した多分子(食品)の機能評価で重要な役割を担う。同シンポジウムに登壇した東北大学未来科学技術共同研究センター(NICHe)教授の宮澤陽夫氏は「複数の栄養素が細胞の代謝経路を通じて人体にどんな作用を及ぼすかなどを解明したい」と訴えるとともに、「量子コンピューターでAIディアトロフィという新たな学術分野を開拓する」と話した。

 シンポジウム開始前は「なぜ栄養学に量子コンピューターなどの技術が必要なのか」などの疑問があったが、講演を通して栄養学とIT技術の組み合わせはヘルスケア業界そのものを大きく変革する可能性を秘めていると思えた。「スポーツテック」や「スリープテック」などと同様に、人に寄り添い、健康を支えるテクノロジーの1つとして発展することを期待したい。