全1434文字
PR

 多額の税金を支払うのだろうか、兄弟姉妹とどう話し合えばいいのだろうか――。不安が尽きない「相続問題」。最近、筆者は相続へのイメージを覆された出来事があった。仲間を集め、家の所有権をシェアする考え方との出会いだ。

 住宅の所有権をシェアし、さらに地域社会にも貢献しようと取り組んでいるのが日本土地資源協会(東京・世田谷)だ。2012年に設立された。面白いのは、建築家の山本理顕氏が、こうした活動に関心を持っていることだ。

 山本氏は自身が所有する建物を地域に開こうと検討しているという。自宅の他に、店舗、シェアオフィスなどが入るGAZEBO(横浜市、1986年竣工)や、代表を務める山本理顕設計工場の事務所ビル(横浜市、2020年竣工)など、山本氏が設計し、所有する複数の建物で、会員を募って共同所有することを検討中だ。

左がGAZEBO。山本理顕氏の自宅の他、店舗やシェアオフィスなどが入る。右は山本理顕設計工場の事務所ビル。2棟は徒歩1分程度で行き来できる距離に立つ(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]
左がGAZEBO。山本理顕氏の自宅の他、店舗やシェアオフィスなどが入る。右は山本理顕設計工場の事務所ビル。2棟は徒歩1分程度で行き来できる距離に立つ(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]
左がGAZEBO。山本理顕氏の自宅の他、店舗やシェアオフィスなどが入る。右は山本理顕設計工場の事務所ビル。2棟は徒歩1分程度で行き来できる距離に立つ(写真:日経アーキテクチュア)

 山本氏はこれまで「地域社会圏主義」という考え方を提唱してきた。家族で住むことを前提とせず、周辺環境との関係を重視し、住民同士が助け合い、自治が構築される。そこでは地域経済が成り立つことも重要だ。プライバシーやセキュリティーを重視した1つの住宅に1つ家族が住み、近隣との関係が希薄であるというような住まいの在り方に替わる、新しい生活の在り方の提案だ。

 この共同所有で受け皿となるのが地域社会圏研究所という一般社団法人。地域社会圏研究所は、18年に創設され、山本理顕氏が提唱してきた「地域社会圏主義」の考えに基づき、生活と経済が融合した地域コミュニティーの構築を応援する「LOCAL REPUBLIC AWARD」の運営や研究などを手掛けている。同法人の事務局長は、日本土地資源協会の松村拓也代表理事が務めている。