自動車業界の記事を担当する筆者は、取材の際、新型車に試乗する機会が多い。そこで今回は2022年に試乗した車の中で最も印象に残った車3選を紹介する。
軽自動車らしからぬ加速に驚いた軽EV
2022年に試乗した車の中で最も印象に残ったのが、日産自動車と三菱自動車が共同開発して発売した軽自動車「サクラ」と「eKクロスEV」だ。両車は、総電力量20kWhのリチウムイオン電池パックを搭載する電気自動車(EV)だ。
試乗して感じたのは、軽自動車とは思えない走りの力強さと静粛性だ。軽自動車のため最高出力は47kWだが、最大トルクは195N・mもある。ホンダが2009年に限定販売した高性能車「シビックタイプRユーロ」の最大トルクが193N・m。十数年前の高性能車と同等のトルクを出せる軽自動車と考えるとその走りの力強さが分かりやすいだろう。
EVらしくアクセルを踏み込んだ瞬間の応答性も良い。電池が床下に備わるため一般的な軽自動車と比べ低重心で、横風でふらつくことも少なかった。加えて、軽自動車が不得意とする静粛性にも優れている。日産のテストコースで試乗した際は、静かに加速するため、気づいたときには100km/hに達していた。
両車とも価格は230万円台からとなる。補助金を利用すれば200万円以下で購入できる。日産副社長の星野朝子氏は「EVの普及促進に必ず弾みをつける存在になる」と自信を示す。
筆者は、街乗りメインの“2台目”に軽EVの需要があると予測する。満充電からの航続距離(WLTCモード)は180kmと短く、ファーストカーとして所有するとなると、充電器や充電時間など、インフラ面での課題も多い。一方、ファーストカーは一般的なガソリン車やハイブリッド車(HEV)を所有し、軽EVはセカンドカーとして街乗りを中心に使うと、充電や走行距離の欠点を補えると考えた。