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 建設業界の大半を占める零細企業における生産性向上が進まない。数年前から国土交通省の幹部をはじめ様々な発注者が指摘していた課題だが、今も解決に至っていない。

2019年時点の産業別の付加価値生産性。建設業の生産性は徐々に上がっているものの、製造業など他の産業と比べて低い。国土交通省の資料を基に日経コンストラクションが作成
2019年時点の産業別の付加価値生産性。建設業の生産性は徐々に上がっているものの、製造業など他の産業と比べて低い。国土交通省の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 「ICT(情報通信技術)施工など、新しいことに取り組むには社員が少な過ぎて不可能だ」「手掛ける工事の規模が小さいので、ICT化などによる生産性向上の恩恵が少ない」――。取り組みに積極的でない会社は一様にそう答える。本当だろうか。

 例えば、社員の少なさについて。確かに地方大手のように、ICTの支援部署を作って人員を割くほどの余裕はないかもしれない。しかし何も部署である必然性はなくて、ICTを使って現場の情報を俯瞰(ふかん)的に確認する人が1人でもいれば、支援は可能だ。現場の無駄を見つけ出し、効率化につなげることができるかもしれない。

 宮崎県日向市に本社を置く旭建設の黒木繁人社長は、「スマートコントロールセンターのように各現場を映すモニターがあれば、本社に居ながら現場の進捗や安全を確認できる。小さい会社ほどICT化は効果があると思っている」と話す。

 いまだに勘違いしている人は多いが、ICT化とはICT建機を使った施工だけを指す言葉ではない。チャットやオンライン会議のように、世間では当たり前となっているツールを仕事で使うだけでも立派なICT化だ。固定電話でしか情報をやり取りしない会社は、まずそこから手を付けてみてはどうか。