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 東京電力福島第1原子力発電所の事故が発生した2011年3月11日から間もなく10年となる。その廃炉技術について取り上げた日経ものづくりの2021年3月号の特集を筆者は担当した。これはその編集後記である。

 紙のメディア(月刊誌)である日経ものづくりでは、編集後記を掲載するのは後ろのほうのページにある十数行ほどのスペース。あまり大声では言えないが、大抵、締め切りの最終日近くになって書くことが多い。取材のこぼれ話から、記事に関連した世間話まで、担当者の想いがにじみでる。

 ところが、Webメディアである日経クロステックには、編集後記を定期的に執筆する枠が無い。そもそも、Webメディアには雑誌のような定期的な発行日は無いのだから、「あとがき」という性格のコンテンツは似合わないのかもしれない。とはいえ、編集後記を書いてはならないというルールは無い。廃炉技術の特集の取材を進めていく中で感じた、リモートワークの難しさについて述べていきたいと思う。

(出所:PIXTA)
(出所:PIXTA)
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遠隔会議は万能じゃない

 新型コロナウイルス感染症の流行が1年を超えようとしている。1回目の緊急事態宣言は2020年の4月に始まった。あれから、筆者が活動している取材の現場はずいぶん様(さま)変わりしてしまった。感染防止のために対面形式の取材が減り、代わりに「Zoom」や「Teams」といったWeb会議システムを使った遠隔取材が求められるようになった。

 初め、筆者はWeb会議システムの素晴らしさを、感じずにはいられなかった。今までは出張しなければ会えなかった遠方の方々とも、会社や自宅に居ながらにして、取材できるようになったのである。お互いにパソコンの画面を共有しながら会話できるので、スライド資料だけでなく、時には動画を視聴しながら、取材を進められる。

 もちろん、Web会議システムに頼れる業務は限られるだろう。例えば、製造業で設計や製造を担当している方々は、現場がある以上、会議をリモート化できたとしても、日々の業務は急には変えられない。一部の読者の方々からは、「メディアが騒ぐほどテレワークは常識じゃない」といったお叱りもあった。

 ごもっともである。