アプリ上で小売店内の商品の陳列場所を探せる「売り場検索」機能をご存じだろうか。店舗を指定し、欲しい商品を検索すると、店内マップ上に商品の陳列場所が表示される仕組みだ。忙しい店員さんを捕まえて「○○の売り場はどこですか?」とわざわざ聞く必要がなく、記者自身も非常に重宝しているリテールテック(小売り向けテクノロジー)の1つだ。
同機能は2010年代に米国の小売りで一気に普及し、日本でもここ数年でユニクロやジーユー、ニトリ、カインズ、DCMホールディングス、コメリらが提供を始めている。
とても便利な売り場検索機能だが、ちょっとした課題を感じるときがある。商品の陳列場所を特定できても「そもそも自分の現在地が分からない」という問題だ。不慣れな店舗にいると、意外とこれがストレスだったりする。
この問題を解消した国内小売りがついに現れた。デジタル活用に積極的なことで知られるカインズだ。会員向けアプリに実装した売り場検索機能に、自身の位置を表示させる機能を追加したという。既に一部店舗でローンチしており、「2023年3月後半から対象店舗を拡大する」という噂を聞きつけ、本格始動を前に記者が試してきた。
Googleマップを使っているような感覚
記者が訪れたのは埼玉県朝霞市にある「カインズ朝霞店」だ。売り場面積(施設全体)はサッカーコート1.8面分に相当する約1万3000平米で、扱う商品数は約8万点に及ぶ。初めて訪れる店舗で、なおかつこの広大な売り場で商品を探すのは、それなりに手間がかかることは想像に難くないだろう。
アプリの使い方は簡単だ。あらかじめ買い物に行く店(今回は朝霞店)を「マイストア」として登録しておく。その上で欲しい商品をアプリで検索し、「売場を探す」をタップすると店内マップ上に陳列棚が緑色のピンマークで表示される仕組みだ。
記者がカインズの人気商品「Moffleフィットまくら」を検索すると、マップが表示され「自分の位置を確認するにはBluetoothをオンにしてください」と表示された。記者は都内にあるカインズの店舗を頻繁に利用するが、この表示は初めてだ。顧客の位置情報表示に対応している店で使うと、出てくる模様だ。