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 海外のメガクラウドが日本国内で攻勢を強めている。AWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure、GCP(Google Cloud Platform)という、いわゆる「世界3大クラウド」を活用したいというニーズは高まる一方。政府は2020年10月に運用開始予定の「政府共通プラットフォーム」の基盤にAWSの採用を決めた。

 メガクラウドの活用対象が日本でも基幹系システムに広がってきたのが最近のトレンドだ。例えば、日清食品ホールディングスはオンプレミス(自社所有)環境で稼働させていた欧州SAP製のERP(統合基幹業務システム)を2019年、Microsoft Azureに移行。ふくおかフィナンシャルグループは、新たに開業する銀行の勘定系システムをGCP上に構築中である。

 グローバルな競争で勝ち抜いてきたメガクラウドは、サービスの種類や数、コストパフォーマンスで国内クラウドを圧倒する。国内クラウドが劣勢に追い込まれる一方で、メガクラウドを使いこなしながら顧客の要望に応える「マネージドサービスプロバイダー(MSP)」が台頭してきた。MSPは日本ではまだなじみは薄いかもしれない。ただ、昨今はやりのDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するうえでも、クラウドの活用手法として要注目だ。

ITベンダーのMSP化が進む

 最近になってMSPとして名乗りを上げた1社がソフトバンクだ。同社は2020年2月、Microsoft AzureのMSP資格「Microsoft Azure Expert MSP」を取得。MSPサービスの提供を本格化させた。

 日本でMicrosoft Azure Expert MSPを持つITベンダーはソフトバンクを含め4社しかない。このようにMSPの認知度や浸透度は日本ではまだ低い。ただし、グローバルでは既にMSPのカテゴリーが確立し市場にベンダーがひしめいている。

「Magic Quadrant for Public Cloud Infrastructure Managed Service Providers, Worldwide(2018年)」
「Magic Quadrant for Public Cloud Infrastructure Managed Service Providers, Worldwide(2018年)」
(出所:米ガートナー)
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 メガクラウドベンダーは独自の基準でMSPを認定しているが、そのハードルはかなり高い。例えばAWSの「AWS マネージドサービスプロバイダ(MSP)パートナープログラム」では前提条件として以下が示されている。

  • APNメンバーシップ:アドバンストまたはプレミアAPN コンサルティングパートナー
  • カスタマーエンゲージメント:AWSのお客様からの推薦数が4件以上、少なくとも2件は一般公開されて参照可能
  • MSPの検証:AWS MSP パートナープログラムの検証チェックリストを使用した自己診断の実施

 一度認定されても、その維持は簡単ではない。MSP認定は年1回の更新のタイミングで、その時点の最新のチェックリストの要件を満たすことを求めているほか、3年ごとに第三者監査法人による2日間の監査を設定しているからだ。

 現在、日本でAWSのMSP資格を取得しているITベンダーは12社ある。「MSPは取得と維持が難しいものである一方、パートナーと顧客の認知が高まっていることから、取得の機運は高まっている」(アマゾン ウェブ サービス ジャパン)という。

 ソフトバンクがAzure以外のMSP取得を視野にマルチクラウド対応を目指すなど、ITベンダーのMSP化が今後進んできそうだ。

 では、MSPはユーザーのクラウド活用をどのように支援してくれるのか。