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 「会社を移ってから、仕事の進め方が全く違うことに驚いた」。大企業からネットベンチャーに転職したCIO(最高情報責任者)と話したときのことだ。以前と今の職場環境の違いについて興味深い話を聞いた。

 そのCIOの意見をまとめると以下のようになる。

 そのネットベンチャーでは従業員同士のコミュニケーションのほとんどはデジタルベースだ。主にチャットツールを使う。チャットツールではテーマごとにグループが作られている。これは「仮想空間に複数の会議体があるようなもの」とそのCIOは言う。

 1人の従業員は、チャット上で複数の会議体に所属し、その議論の進行をリアルタイムで常にウオッチしている。隣の会議体の様子を閲覧することも可能だ。

 このメリットは、何が決まったか、どのような理由でそう判断したかなど、意思決定に関わるやり取りが、すべてデータ化されることだ。さらにメンバーがどこにいても議論が進むため、企業としての意思決定のスピードが早くなる。

 大企業でありがちな、根回しが足りないときに「俺は聞いていない」と怒り出すおじさんたちはいない。情報が必要ならば自分でチャットツールの過去の書き込みを読めばよいだけだからだ。

 情報がほしいのならば、部下からの報告を待つのではなく自分から取りにいくという企業文化だ。上位役職者でも変わらない。

 チャットツールでの議論の仕方には、独特の間合いがあり、慣れるのには少し時間がかかったそうだ。なんとなく結論が出たな、というところで別の話題に移る。このタイミングを読むのにちょっとコツがいるという。

対面コミュニケーションはOne on One

 デジタルでのコミュニケーションがほとんどだが、人間関係が希薄なのかというと、そうではないという。対面でのコミュニケーション不足を補う目的でOne on One(1対1)のミーティングを頻繁に開く。One on Oneは米シリコンバレーのテクノロジー企業などが積極的に採用していることから、ネットベンチャーにも広がっている。

 マネジャークラスは直下の部下全員と1週間当たり30分くらいかけて面談する。特にルールがあるわけではないが、One on Oneを実施したほうがよいと皆が実感しているので慣習的にそうなっている。

(出所:123RF)
(出所:123RF)

 One on Oneで話す内容は直接仕事と関係ない話題が多い。趣味やプライベートのことなどだ。いわゆる雑談である。雑談によって上司と部下の心理的な隔たりを少なくする。時には、組織運営上のリスクの芽を早期に発見するきっかけにする。

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