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 日本の少子化は、首都・東京から歯止めをかける──。東京都は2023年度の予算案で、子ども関連予算に約1兆6000億円を計上した。22年度比で約2000億円の増額だ。政府が「次元の異なる少子化対策」の策定に向けて動き出すなか、都は「チルドレンファースト社会」の実現に向けて先頭を走る構えだ。

東京都がまとめた2023年度予算案の概要(出所:東京都)
東京都がまとめた2023年度予算案の概要(出所:東京都)
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 施策のなかで筆者が特に注目しているのが、「東京こどもすくすく住宅認定制度」である。都は同制度による住宅整備を含む「子育て世帯に配慮した住宅の供給促進」として、3億2500万円を計上。子ども関連予算全体で見ると大きな金額ではないが、前年度予算でわずか900万円だったことを考えると、力の入れようが分かる。

 小池百合子都知事は23年2月21日に開催された都議会第1回定例会で、同制度に触れている。認定住宅を供給する事業者に対して、都が直接、1戸当たり最大200万円を支援すると表明した。

 同制度は、既存の「東京都子育て支援住宅認定制度」を見直して再構築するものだ。既存制度は住まい手の安全性や家事のしやすさに配慮しつつ、子育てがしやすい環境を整備する集合住宅を都が認定してきた。

 これに対し、東京こどもすくすく住宅認定制度は、事業者のより幅広い取り組みを対象とする。こうして新制度の認知拡大と認定住宅の供給促進を目指す。

 具体的には、認定モデルを認定基準の適合度合いなどに応じて多段階化する方針だ。それぞれのモデルで住宅の専有部の他、子育て世帯間の交流を促すキッズルームなど共用部への直接補助を行う。東京都住宅政策本部民間住宅部安心居住推進課によると、現行制度の補助額は、都と区の合算で1戸当たり最大10万円程度だった。これが大幅に増えるので、共用部を充実させやすくなるだろう。

 23年3月24日までの都議会で関連予算案が可決、成立すれば、都は早々に新制度の詳細を詰める。