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 2020年6月末までの期間限定で、政府はキャッシュレス・ポイント還元事業(正式名称はキャッシュレス・消費者還元事業)を実施している。中小・小規模事業者の店舗やWebサイトで、クレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済で買い物をすると、2%か5%のポイント還元を受けられるというものだ。

キャッシュレス・ポイント還元事業ののぼり
キャッシュレス・ポイント還元事業ののぼり
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 政府は還元分の原資全額を補助金で手当てする。当初の予算は還元原資やPR費用などを含めて約2800億円。その後、事前の想定より利用が増えて予算オーバーの見通しとなったため、2019年度補正予算で約1500億円を追加した。

 この事業を巡って、所管する経済産業省の梶山弘志大臣が2020年3月3日の記者会見で気になる発言をしている。梶山経産相は「これまで取引件数で6000件弱、還元額にして400万円弱に相当する取引について不正の疑いがあるとの報告を受けている」と話した。不正については補助金の不支給や加盟店資格の剥奪などの措置を講じるという。

店員が実在しない取り引きでポイント詐取か

 不正とはどういうことか。梶山経産相が指摘したのは、一般消費者ではなく、加盟店による不正のことだ。加盟店の経営者や店員が、実在しないキャッシュレス取引をして、補助金分をだまし取ろうというものだ。

 経産省は模倣犯の出現を防ぐ狙いもあってか、不正の手口についてあまり詳しく説明していない。だが、一般に考えられる手口としては、顧客が1万円を現金で支払った場合に、加盟店の店員が現金を自分で受け取る一方で、自分のクレジットカードなどを使って決済するというものだ。5%還元の加盟店の場合、店員が5%、500円分のポイント還元を不正受給することになる。

 最初から存在しない取り引きをでっち上げる手法も考えられる。1万円の商品が実際には売れていないのに、店員がキャッシュレス決済で買ったことにすれば500円分のポイントを得られる。これを繰り返せばそれなりの金額になる。