全2149文字
PR

 米Apple(アップル)は2021年3月上旬、米国で実施中のヘルスケア分野の研究について立て続けにリリースを発表した。3月3日の「世界聴覚デー」と3月8日の「国際女性デー」に合わせて、聴覚に関する研究「Apple Hearing Study」と女性の健康に関する研究「Apple Women’s Health Study」の一部データを報告している。将来の研究成果によっては、これらのテーマはアップルが不整脈の検知の次に注力するヘルスケア分野となるかもしれない。

米国で実施中の聴覚に関する研究「Apple Hearing Study」の画面
米国で実施中の聴覚に関する研究「Apple Hearing Study」の画面
(出所:アップル)
[画像のクリックで拡大表示]

 アップルは2019年9月、米国の大学や医療機関と共同でヘルスケアに関する3つの研究を新たに始めると発表しており、そのうち2つが今回の聴覚と女性の健康に関するテーマだ。ちなみに残る1つのテーマは身体活動と心機能に関するもので、米国の病院とアップルが、心拍数や歩行速度などと入院や転倒、心機能への影響、生活の質などとの関連を調べている。

 アップルは3つの研究について、不整脈検知の可能性を調べた「Apple Heart Study」に続く新たなヘルスケア分野の取り組みと位置付けており、注力して取り組んでいるようだ。米国や日本などでアップル製品を利用した臨床試験が数多く実施されているが、アップルが共同研究者として参加を発表しているのは今回の3つと先行して進められたApple Heart Studyである。Apple Heart StudyはApple Watchの光学式心拍センサーで計測した心拍数から不整脈を検知できるかを検討した研究で、この研究成果などを基に心拍数の通知機能がApple Watchのアプリに実装された。

 さらにアップルは利用者がApple Watchの竜頭(つまみ)に指を当てることで心電図を記録する機能を実用化した。得た心電図の情報を基に、不整脈の一種である心房細動の可能性をアプリが表示する。不整脈の通知と心電図機能はそれぞれ、2020年9月に厚生労働省から「家庭用心拍数モニタプログラム」と「家庭用心電計プログラム」として承認を取得し、日本でも2021年1月末から利用できるようになった。

 新しく始めた聴覚に関するApple Hearing Studyでは、ミシガン大学とアップルが共同で、騒音を計測するアプリの情報や利用者が記録したデータを解析し、環境やヘッドホンの騒音が聴覚に与える影響を米国で調査している。2021年3月のリリース発表では、数千人の研究参加者を対象に1日に暴露した環境音の平均レベルやヘッドホンの1週間の平均利用時間、聴力テストなどを調査した結果について両者が公表した。例えば研究参加者のうち働いている、あるいは働いていた人の半数近くは騒音がひどい職場環境にあるという 。