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 「人材エージェントから、400件近く転職先を紹介された」。IT企業で20年以上働く知り合いから、こんな話を聞いて驚いた。過去にも何度か転職活動をしたが、これほど数が多いのは初めてという。

 その知り合いは現在、40代半ば。転職市場で最も人気とされるのは20代後半~30代半ばとされるが、自身がその年代だった頃よりも引き合いが増えているという。IT人材の獲得競争の激しさを実感した。

 紹介された企業名も聞いたが、業種は多岐にわたった。ヘルスケアや化粧品、電機、自動車部品メーカーなど、デジタルビジネスに取り組む様々な企業がIT人材を集めている。

 実際、業界をまたいだ転職は増える一方だ。リクルートキャリアによれば、2017年に異業種に転職したITエンジニアの数は2009年の2.68倍に達する。同業種に転職したエンジニア数は2009年の1.77倍なので、異業種転職の伸びが大きいことが分かる。ではどこに転職しているのか。2009年と2017年のITエンジニアの転職先を比べると、「コンサルティング」と並んで増えているのが「電気(電機)・電子・機械」業界だ。

ITエンジニアの転職先業界
ITエンジニアの転職先業界
(出所:リクルートキャリア)
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 中でも目立つのは、自動車関連業界への転職である。「自動車業界は従来、同じ業界の経験者でなければ転職が難しかった。だが自動運転などへの取り組みが進む中で、2015年頃からソフトウエア領域の人材ニーズが高まっている」(リクルートキャリア エージェント事業本部 ハイキャリア・グローバルコンサルティング部 2グループ 所寿紀シニアコンサルタント)。自動運転に必要な周辺状況認識やルート探索といった機能の実現のため、画像認識に長けたエンジニアやデータサイエンティストなどが求められているという。

 外資系を中心に自動車関連メーカーの転職支援を手掛ける、ロバート・ウォルターズ・ジャパン 商工業部門 自動車チーム 安藤朋洋マネジャーも「テレマティクスや自動運転などで求められる技術は、業界内で手掛けている人が少ない。ゲーム会社など、自動車と全く関係がなさそうな業界からも人材を集めている」と話す。実際、同社の支援で自動車業界に転職した人のうち、前職が非自動車業界である人の割合は2016年が4.6%だったのに対して、2017年は10%。1年で2倍以上伸びている。

ウォーターフォール型開発スキルに熱視線

 IT業界の中でも、人材の流動化は進んでいる。特にデータ分析やAI(人工知能)などに関するスキルを持つエンジニアの人気は高く、ITベンダーやネット企業、ユーザー企業が獲得競争を繰り広げている。