全1256文字

 「高級車といえば本革」――、いまは必ずしもそうとはいえなくなってきた。欧州の高級車メーカーを中心に、内装に動物の皮革を使わない「レザーフリー」に向かう動きが広がっているためだ。

 注目を集めているのが、スウェーデンVolvo Cars(ボルボ)。2021年9月に、新型の電気自動車(EV)「C40 Recharge」を皮切りに今後全てのEVで本革を使用しないと宣言した(図1、2)。同社は30年までに新車販売の全てをEVにする目標も掲げている。つまり、30年には販売する全ての車両をレザーフリーにする計画だ。

図1 ボルボの新型EV「C40 Recharge」
図1 ボルボの新型EV「C40 Recharge」
ボルボ初となる、本革を使用しない車両である。写真は日本仕様車。(撮影:日経Automotive)
[画像のクリックで拡大表示]

図2 C40 Rechargeの内装
図2 C40 Rechargeの内装
カーペット素材の100%がリサイクル原料。シート材にはリサイクル素材と合成皮革を使用している。ステアリングホイールには合成皮革を使う。(撮影:日経Automotive)
[画像のクリックで拡大表示]

 ボルボは、「先進的な自動車メーカーとして、二酸化炭素(CO2)の排出量だけでなく、サステナビリティー(持続可能性)の全ての分野に取り組む必要がある」としている。ESG(環境・社会・ガバナンス)への関心が高まる中、完全EV化に加えて動物福祉への姿勢を強調することで、投資家からの評価を得る狙いがありそうだ。

 本革は高級車内装の代名詞とされるだけに、ボルボは大胆に舵(かじ)を切ったように映る。実際、「これまでの高級車ユーザーとは距離がある取り組み」(ボルボ・カー・ジャパンプロダクトグループマネージャーの畑山真一郎氏)と認める。ユーザーの意識は、今後8~9年かけてレザーフリーを段階的に進める中で変化していくとみる。

 ドイツ高級車大手のMercedes-Benz Group(メルセデス・ベンツグループ)とBMW、Audi(アウディ)の3社は、本革の完全排除までは打ち出さないものの、着々と取り組みを進める。一部ブランドや車種、オプションなどで、レザーフリーの内装を用意する。

 例えば、BMWは21年に「MINI(ミニ)」ブランドで今後本革を使わないと発表した。アウディは新型EV「e-tron GT quattro」で、内装に本革を使わない「レザーフリーパッケージ」を設定している(図3)。

図3 アウディがe-tron GT quattroに使用するシート材
図3 アウディがe-tron GT quattroに使用するシート材
ペットボトルや漁網を再生した繊維をシート素材として使う。(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]