IT関連をトピックに日々取材する中で、「事件」的な内容を取り扱うことがある。IT企業の不正会計だったり、顧客企業から開発プロジェクトについて訴えられたりといったものだ。特に多いのがセキュリティー被害だ。2022年2~3月にかけて表面化した被害が増えていることもあり、自分としては印象強くなっている。
何度もセキュリティー被害について取材していると、それぞれ別の事件でありながら共通項が見えてくる。被害のパターンだ。一つは企業が保有する顧客の氏名や住所、クレジットカード番号などの情報が大量に奪取されてしまうもの。もう一つは、銀行口座から預金が盗まれるといった、顧客が金銭被害を受けるものだ。
こうした被害はまだまだ多い一方で、最近ではその被害内容や影響に変化が見られるようになってきた。より広範になり、身近になっているのだ。
テレビアニメから映画まで影響
その典型例が、東映アニメーションが受けた不正アクセス被害の影響だ。人気テレビアニメ「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」や「デリシャスパーティ♡プリキュア」、「デジモンゴーストゲーム」、「ONE PIECE」は最新話の放送延期を余儀なくされている。さらに2022年4月22日に予定されていた「ドラゴンボール」の映画「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」も作品公開を延期することが発表された。こうしたコンテンツ公開に被害が及ぶ例は、最近の記憶にはない。