PR

 仮想通貨交換業者のコインチェックから多額の仮想通貨「NEM」が流出した事件から2カ月が経過した。

 2018年1月26日、攻撃者が不正に引き出したNEMは、間もなく異変を察知した日本人技術者の機転で、すぐに追跡が始まった。この2カ月間は、別の仮想通貨を踏み台にNEMを換金しようとする攻撃者と、これを阻止しようと資金移動を追跡する関係者や有志のIT技術者がサイバー空間で攻防を繰り広げる、異例の展開を見せた。

 しかし「ブラックハッカー対ホワイトハッカー」の攻防は、ホワイトハッカーがNEMの交換や換金を阻止できなかった形で1つの区切りがついたようだ。

 NEMの普及団体で追跡活動の中心的役割を担ってきたNEM.io財団が、3月18日に流出NEMの追跡機能を停止したと3月20日に公表。事実上、換金を阻止する活動を終えたからだ。

NEM.io財団のロン・ウォン代表は不正流出したNEMを追跡するためのタギングを終了すると明らかにした。
NEM.io財団のロン・ウォン代表は不正流出したNEMを追跡するためのタギングを終了すると明らかにした。
出所:NEM.io財団
[画像のクリックで拡大表示]

 攻撃者が不正に引き出したNEMは、多数の口座に分散されながらほぼ全額が別の仮想通貨に交換された公算が高まったことも、追跡から撤退する財団の判断につながったようだ。

 特に、匿名性を高めた特殊な手段でアクセスする「ダークウェブ」では、NEMを匿名のまま別通貨に交換するよう呼び掛けるサイトが2月上旬に出現して、交換が加速してしまった。同サイトは3月22日に残額ゼロになるまでNEMの交換を受け付け、最後にはメッセージを残して交換を終了した。

 追跡を主導したNEM.io財団の幹部は当初、流出NEMの追跡や換金阻止に一定の自信を見せていた。財団や追跡に参加した関係者は、なぜNEM換金を阻止できなかったのか。

NEM追跡の仕組みを日本人技術者が開発

 仮想通貨は種類を問わず口座(アカウント)間の取引が公開され、取引内容を検証できるようになっている。今回の追跡ではさらにNEM特有の技術的特徴を生かし、流出NEMを追跡しやすくする仕組みを作り上げた。