暴力団などによる犯罪の予防を理由に公共工事の入札結果を1年半以上公表していなかった福岡県大任(おおとう)町。永原譲二町長は2023年3月14日の会見で、同年4月1日から公表を再開すると明らかにした。
大任町が入札結果を非公表にしたのは21年7月。永原町長は「町の発注工事を受注した会社に対する暴力団員の脅迫行為がエスカレートしていた」と説明する。
町などの自治体が住民の安全や安心を守ることは当然の務めだ。とはいえ、犯罪の予防と入札結果の非公表は別問題ではないだろうか。
入札契約適正化法では、落札会社などの公表を発注者に義務付けている。つまり、大任町は21年7月から違法状態だったわけだ。
国土交通省は22年6月、入札契約情報が非公表だった場合は直ちに公表するように、全国の自治体に向けて通知を出している。大任町にも個別に連絡し、繰り返し是正を求めてきた。
しかし大任町は、「法律に抵触しても、住民の生命と財産を守る必要がある」(永原町長)として、非公表の姿勢を崩さなかった。