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 消費者庁は2022年3月24日、「磁石」や「吸水樹脂ボール」の誤飲事故に関する注意喚起を発表した。これらを子どもが誤って飲み込んだ場合、開腹手術が必要になるほどの重篤な症状となるという。形状がとがっていたり、毒性があったりするものでなくても、誤飲によって重症化する場合があることを知っておく必要がある。

* 同日に消費者庁の消費者安全調査委員会が「ネオジム磁石製のマグネットセットによる子どもの誤飲事故」の原因調査報告書を、国民生活センターが「乳幼児による水で膨らむボール状の樹脂製玩具」の注意喚起を公表している。

消化管を挟んで磁石が引き合う

 磁石の誤飲事故は、ネオジム磁石を使ったマグネットセットのような製品で発生している(図1)。数十から数百個の小さな磁石をセットにしたもので、「パズル」「おもちゃ」「玩具」「知育」といったキーワードが商品名や宣伝文句に使われている。個々の磁石は3~5mm程度の大きさだ。

図1 ネオジム磁石製のマグネットセット
図1 ネオジム磁石製のマグネットセット
写真の製品の磁石1つの大きさは直径約5mm。左は216個のセット。右は厚さ10mmの消しゴムを挟み込んだ様子。(出所:消費者庁)

 こうした磁石を複数個同時に誤って飲み込むと、消化管を挟んで引き合ってしまう場合がある。こうして固定された磁石は自然には排出されない。磁石によって圧力がかかった部分の血流は止まり、壊死(えし)して消化管に穴が開いたり、腸閉塞を引き起こしたりする。結果、死亡に至る可能性がある重篤な症状につながる。消費者庁の消費者安全調査委員会の報告書には10の事故事例が掲載されているが、開腹手術で摘出された磁石の数は最大で37個だった。

 マグネットセットの磁石のように、小さくて多数の磁石で構成された製品は、その一部が誤飲によって数が減っていても気付きにくい。また、マグネットセットのように最初から小さな磁石として販売されるものだけでなく、製品に取り付けられた磁石が破損時などに分離し、誤飲してしまうような事故も発生しているという。