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 「あれだけ米国政府の制裁を受けても、売上高微増という点が驚き」――。

 中国の通信機器大手、ファーウェイ(華為技術)が2021年3月31日に発表した2020年12月期決算を見た筆者の正直な感想だ。同社の20年12月期決算は、売上高が前期比3.8%増の8914億元(約15兆円)、純利益は同3.2%増の646億元(約1兆1000億円)。近年高い成長を続けてきた同社の業績に急ブレーキがかかったものの増収を維持した。

2020年12月期の業績を発表するファーウェイ副会長兼輪番会長の胡厚崑(ケン・フー)氏
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2020年12月期の業績を発表するファーウェイ副会長兼輪番会長の胡厚崑(ケン・フー)氏
(出所:中国ファーウェイ「2020 Annual Report Press Conference」のネット中継画面をキャプチャー)

 米商務省は19年5月、ファーウェイを安全保障上問題のある企業として「エンティティーリスト」に追加。事実上の禁輸措置を発動し、ファーウェイは米Google(グーグル)のスマホ向けOSを使用できなくなるなどの影響が出た。米商務省は20年5月にさらに制裁を強化。19年5月に発動した同社に対する事実上の禁輸措置の「抜け穴」を塞ぎ、米国外で製造した半導体であっても米国製の技術を使っていれば輸出できないようにする方針を示した。措置が発効された20年9月以降、ファーウェイは米国製技術を使った半導体部品の調達が原則禁じられた。

 米政府は20年秋以降、一部に限って輸出再開を認めたものの、ファーウェイはスマホや5G(第5世代移動通信システム)基地局の心臓部となる米国由来の半導体部品の調達が困難となり大打撃を受けている。米調査会社IDCによると、20年4〜6月期に、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)を抜き世界のスマホ出荷台数のシェアで首位に立ったファーウェイはその後、急落。20年10〜12月には同5位に後退するなど、米政府の制裁の影響の深刻さが見えていた。

不振のスマホを含むコンシューマー事業の売上高も微増
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不振のスマホを含むコンシューマー事業の売上高も微増
(出所:ファーウェイ)

 そんな状況下であるため筆者は、2020年12月期のファーウェイの業績はもっと落ち込むと見ていた。だが実際は、最も影響を受けているスマホを含むコンシューマー事業分野でも、売上高は前年比3.3%で微増となった。同日会見した副会長兼輪番会長の胡厚崑(ケン・フー)氏は「(米制裁によって)スマホは影響を受けているが、それ以外のPC、テレビなどの出荷が伸びており、スマホの出荷減を補うことができた」と述べた。

 これだけ厳しい経営環境下であるにもかかわらず、研究開発への投資を緩めていない点にもファーウェイの底力を感じた。同社は、売上高の1割以上を研究開発投資に充てることが知られている。20年の研究開発投資は売上高の約16%に相当する1419億元(約2兆3900億円)であり、前年の1317億元(約2兆2200億円)よりも増やしている。