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 ウィーン……。先ほどまで車椅子に座っていた自分の体が自動で持ち上げられ、歩行を始められる体勢になった。筆者の背中や足は、リハビリ装置に固定されている。装置を操作してくれた担当者の「始めますね」という声の後、右足が前に押し出され、左足がそれに続いた。少しずつ前進する。

 これは筆者が、ロボットアシストスーツ「アクティブ歩行器」を体験した際の一コマだ。自分の意思で足を動かせる筆者には不思議な感覚だが、自力で歩くのが難しい人であれば「自分の足で歩けた!」と感じる一瞬だろう。

アクティブ歩行器を体験する筆者。座った状態から立ち上がり、歩行動作をトレーニングする(写真左から右)。前進し始めると思わず自分の足をのぞき込んでしまった
アクティブ歩行器を体験する筆者。座った状態から立ち上がり、歩行動作をトレーニングする(写真左から右)。前進し始めると思わず自分の足をのぞき込んでしまった
(出所:日経クロステック)
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 アクティブ歩行器の開発を手掛けているのは、東京理科大学工学部機械工学科の小林宏教授である。小林教授は重いものを持ち上げる動作や中腰での作業を補助する「マッスルスーツ」を実用化し、東京理科大学発のベンチャーとして2013年にイノフィス(東京・新宿)を創業。マッスルスーツは介護現場のほか、製造業や物流、農業分野などで利用されている。

 イノフィスを創業する前から小林教授が注力しているのが、自力で歩くのが困難な人が自分で動けるようになる技術の開発だ。今回そうした技術の仕組みや開発状況を聞かせてもらうべく、大学の研究室にお邪魔した。その際、寝たきりの人が使えるアクティブ歩行器を体験させてもらった様子が記事の冒頭というわけだ。