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 iPhoneをiOS 14にアップデートしたら、会社のWi-Fiにつながらなくなった──。最近、企業のネットワークでこうしたトラブルがよく見られるようになった。その原因は意外なところにある。

認証に使われているMACアドレス

 ネットワーク管理者にとってなじみの深いMACアドレスは、無線LANや有線LANでは重要な役割を持つ。MACアドレスは48ビット長の識別子で、宛先や送信元を指定するのに使われている。

 MACアドレスには基本的に機器固有の値が使われており、世界中で一意になるように割り当てられている。まず前半24ビットが機器メーカーごとに割り当てられる。さらにメーカーは後半24ビットを機器ごとに重複しないよう割り当てるのだ。前半24ビットはOUI(Organizationally Unique Identifier)、後半24ビットはインターフェースIDと呼ばれる。

 機器ごとにユニークな値を取るというMACアドレスの特徴を生かし、MACアドレスを端末の認証などに使う企業は多い。ところが、MACアドレスによる認証がiOS 14だと通信できなくなる原因となり得るのだ。

MACアドレスのランダム化が原因

 iOS 14では、実際に通信に使うMACアドレスとして、機器に割り当てられた固有の値ではなく、ランダムな値を使うのがデフォルトとなった。米Apple(アップル)はこれを「プライベートアドレス」と呼んでいる。その狙いはプライバシーやセキュリティーを強化することだ。

 iOS 14を搭載するiPhoneなどの端末は、実際に使うMACアドレスが登録されていない値を使うため、MACアドレスを認証に使っている企業では通信できなくなってしまう。実は同様の機能はAndroid 10/11にも搭載されている。日本国内ではiPhoneを使う企業が多いため、2020年9月にリリースされたiOS 14(またはiPadOS 14やwatchOS 7)をきっかけに、この問題が顕在化したとみられる。