「これはエープリルフールのネタなのか?」。CDN(コンテンツ配信ネットワーク)などのサービスを提供する米クラウドフレア(Cloudflare)が2018年4月1日に発表したサービスを見て、一瞬そう思った。「1.1.1.1」というIPアドレスで一般ユーザー向けにDNSサービスを提供するという内容だ。その名も「1.1.1.1」だという。

 エープリルフールに合わせて大量に発生するウソの発表には正直うんざりしていた。ただクラウドフレアの発表は、IPアドレスが特徴的なところ以外には特にネタの要素はない。サービスを発表したブログをよく読んでみると、「1.1.1.1は4個の1を持つから4月1日に発表した」とある。エープリルフールネタではないとも強調している。どうやらちゃんとしたサービスのようだ。

 ちなみに、1.1.1.1に加えて1.0.0.1というIPアドレスでも同じサービスを提供するという。利用料は無料だ。

 同様のDNSサービスには、米グーグル(Google)が「8.8.8.8」というIPアドレスで提供する「Google Public DNS」や、米IBMが「9.9.9.9」というIPアドレスで提供する「Quad9」がある。「要するにユーザーの選択肢が増えたということか」と納得がいった。

 1.1.1.1と1.0.0.1の2つのIPアドレスは、もともとアジア・太平洋地域のIPアドレスの割り当てを担当している地域インターネットレジストリであるAPNIC(Asia Pacific Network Information Centre)の研究グループが持っていた。1.1.1.1という特徴的なIPアドレスには様々なトラフィックが大量に押し寄せるため、APNICはその内容や傾向を調査したいと考えていた。そこでクラウドフレアはこのIPアドレスをDNSサービスの提供に使うのと引き換えに、トラフィックの調査を引き受けたという。

 同社によれば1.1.1.1サービスの特徴は「高速であること」と「プライバシーの保護」で、同社は特に後者を強調している。背景には、グーグルや米フェイスブック(Facebook)といったIT企業が大量のユーザーデータを集めるなか、プライバシー侵害の懸念が高まっている現状がある。