「4号特例の見直しで、どんな修繕や模様替えが新たに建築確認の対象になるのか?」――。住宅や改修を手掛ける建築設計者に会うと、決まり文句のように話題に上がる。2025年に施行予定の改正建築基準法のうち、いわゆる「4号特例」と呼ばれる審査省略制度の見直しに対する懸念だ。特に、大規模の修繕や大規模の模様替えの扱いが気になっている。
4号特例とは、建築基準法6条1項4号で定める建築物(4号建築物)を建築士が設計する場合、建築確認の際に構造関係規定などの審査を省略する制度のこと。25年には、4号建築物に関する条文が建築基準法から消える。審査省略の対象が、構造によらず、平屋かつ延べ面積200m2以下の建築物に変更となる。つまり、2階建ての小規模な木造建物も、建築確認の際に構造関係規定などの審査対象となる。
さらに、大規模の修繕や大規模の模様替えについては、現行の建築基準法では4号建築物に限って建築確認の対象外だったが、これらも確認申請が必要になる。
大規模の修繕や大規模の模様替えというのは、主要構造部の1種以上に過半の修繕・模様替えを行う行為を指す。「主要構造部」の範囲や「過半」の程度など、建築基準法で明文化されていない部分は地方自治体ごとの判断になる。このため、大規模の修繕や大規模の模様替えは建築士にとって慎重に法令関係の対応が求められる内容の1つだ。
ここに、25年からは4号特例の見直しが加わることになる。大規模の修繕や大規模の模様替えを扱う建築士は、どんな修繕や模様替えが建築確認の対象となるか、気が気でない。
こうした中、国土交通省は23年3月31日、各都道府県の建築行政主務部長に対して「屋根の改修に関する建築基準法上の取扱いについて」、建築設計関係団体の長に対して「屋根の改修に係る設計・施工上の留意事項について」という文書を通知した。これによると、屋根ふき材のみの改修を行う行為は、大規模の修繕や大規模の模様替えには該当せず、確認申請は不要となる。カバー工法で改修する場合も同様だ。