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 日々の生活の「インフラ」として、サウナに関心を持つ層が増えてきた。サウナを題材にしたテレビドラマの放映や学会設立のあった2019年以降、女性客を増やしながら今に至る。「空前のサウナブーム」と言われるまでになっている。

 外気浴を重視する人は、アウトドアに持ち出すテント型。バスタブに飽き足らない人は、ユニットを装備するマイホーム型。パーソナルな楽しみ方も広がり、コロナ禍の下にありながら比較的勢いが衰えずに進んできた分野だ。

 「店舗型」には、新機軸が現れた。

 その1つが、ショートムービープラットフォームのTikTok(ティックトック)と、 アート集団チームラボの共同による「チームラボ & TikTok, チームラボリコネクト:アートとサウナ 六本木」(以下、TikTok チームラボリコネクト)だ。約半年間の期間限定で、東京・六本木に2021年3月22日に開業した。

東京・六本木に期間限定で開業した「チームラボ & TikTok, チームラボリコネクト:アートとサウナ 六本木」。サウナエリア、冷水(シャワー)エリア、アート浴エリアを回遊できる施設としている。サウナ室には、中央にあるサウナストーンに水をかけて蒸気を浴びる、本場フィンランド式のロウリュを導入(写真:チームラボ)
東京・六本木に期間限定で開業した「チームラボ & TikTok, チームラボリコネクト:アートとサウナ 六本木」。サウナエリア、冷水(シャワー)エリア、アート浴エリアを回遊できる施設としている。サウナ室には、中央にあるサウナストーンに水をかけて蒸気を浴びる、本場フィンランド式のロウリュを導入(写真:チームラボ)
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TikTok チームラボリコネクトのサイネージ。入場に際しての基本的な感染症対策の他、サウナ室利用者の人数管理なども行っている。なお対策に関しては、日本サウナ・スパ協会が20年5月に「サウナ・スパ関連施設における新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン」、日本サウナ学会が同年6月に「サウナ・温浴施設のための新型コロナウイルス感染防止ガイドライン」を示している(写真:日経クロステック)
TikTok チームラボリコネクトのサイネージ。入場に際しての基本的な感染症対策の他、サウナ室利用者の人数管理なども行っている。なお対策に関しては、日本サウナ・スパ協会が20年5月に「サウナ・スパ関連施設における新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン」、日本サウナ学会が同年6月に「サウナ・温浴施設のための新型コロナウイルス感染防止ガイドライン」を示している(写真:日経クロステック)
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 前述のテレビドラマ「サ道」(テレビ東京系、第3回日本サウナ大賞受賞)には、原作がある。タナカカツキ氏による、そのエッセー(書籍発行は11年)および漫画(同16年以降)で描かれたのが、温冷交代浴による「ととのう」という状態だった。

 同ドラマの公式ホームページでは、「サウナ室~水風呂~休憩(外気浴)を3回程度繰り返すことで得られる、多幸感、一種のトランス状態をいう」と説明されている。

 TikTok チームラボリコネクトは、その効果に着目。サウナエリアとアート浴(アート鑑賞)エリアを一体化し、「展覧会」として体験を提供する新型の施設だ。「高級な場所でアートを見るのではなく、 サウナによって“ととのう”ことで、 来場者自身が最高級な状態になってアートを体験する、 新しい形の展覧会」とうたう。

TikTok チームラボリコネクトのサウナ室(写真:日経クロステック)
TikTok チームラボリコネクトのサウナ室(写真:日経クロステック)
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TikTok チームラボリコネクトで用いている特注製作による砂時計(写真:日経クロステック)
TikTok チームラボリコネクトで用いている特注製作による砂時計(写真:日経クロステック)
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TikTok チームラボリコネクトの外観。六本木ヒルズのけやき坂通り側から交差点越しに見る(写真:日経クロステック)
TikTok チームラボリコネクトの外観。六本木ヒルズのけやき坂通り側から交差点越しに見る(写真:日経クロステック)
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 開業前の21年2月11日、東京・日本橋におけるデモンストレーション企画「artdemo (アートデモ)」(クリエイティブクラスター主催)に、チームラボの猪子寿之代表が登壇。一連の作品解説の中で、最新の企画となるアート浴の妙味を以下のように語った。

 「過酷な状態に陥った後、安全な場所に戻る。その繰り返しで突然、生きている実感を得る。そうした特殊な状況で脳をバグらせるような交代浴のプロセスが、この数年、日本で共有され始めた。これまで、アートというのは、最も権威のある最も高級な場所に置こうとされてきた。僕は、来る人々の脳を高級な状態にしてアートを鑑賞してもらうのも面白いと考えた。サウナを利用し、東京では違うゲームを仕掛けてみたい」

TikTok チームラボリコネクトの展示作品「空中浮揚」。今回、デジタルアート6作品を展示。温冷交代浴の効果で「脳を開き、どこまでも広がっていく身体感覚でアートと一体となる」「心と身体と環境が自分という存在の全体性であることに気付き、世界と時間に再びつながる(リコネクト)」ような状態をつくり出すと説明している(写真:チームラボ)
TikTok チームラボリコネクトの展示作品「空中浮揚」。今回、デジタルアート6作品を展示。温冷交代浴の効果で「脳を開き、どこまでも広がっていく身体感覚でアートと一体となる」「心と身体と環境が自分という存在の全体性であることに気付き、世界と時間に再びつながる(リコネクト)」ような状態をつくり出すと説明している(写真:チームラボ)
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TikTok チームラボリコネクトの展示作品「降り注ぐ雨の中で増殖する無量の生命」(写真:チームラボ)
TikTok チームラボリコネクトの展示作品「降り注ぐ雨の中で増殖する無量の生命」(写真:チームラボ)
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TikTok チームラボリコネクトの展示作品「生命は結晶化した儚(はかな)い光」。水の落ちる空間内に入って鑑賞できる。写真は内覧時(写真:日経クロステック)
TikTok チームラボリコネクトの展示作品「生命は結晶化した儚(はかな)い光」。水の落ちる空間内に入って鑑賞できる。写真は内覧時(写真:日経クロステック)
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 新タイプとしては、東京・神楽坂に20年12月、完全個室のフィンランド式サウナ「ソロサウナtune(チューン)」も開業している。

 着脱衣、サウナ、冷水によるクールダウン、休憩をプライベートで完結できる。感染症を気にする人に使いやすい施設として話題になり、常に予約完売の状態だ。既存ホステルの一部リニューアルで、新規部分の設計にはチームラボアーキテクツのパートナーとしても活動する浜田晶則氏(AHA 浜田晶則建築設計事務所)が携わった。

「ソロサウナtune(チューン)」店内。シングル用の他、同性3人までが使用できるサウナ室も用意している。個室には、長さ2mの横になれるベンチを備える。サウナプロデューサーで日本サウナ学会の設立者でもある秋山大輔氏(TTNE)が監修(写真:tune)
「ソロサウナtune(チューン)」店内。シングル用の他、同性3人までが使用できるサウナ室も用意している。個室には、長さ2mの横になれるベンチを備える。サウナプロデューサーで日本サウナ学会の設立者でもある秋山大輔氏(TTNE)が監修(写真:tune)
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ソロサウナtune店内。400mm口径のオーバーヘッドシャワーを備える。チラー(冷却器)によって水温を10~15度前後に維持し、温冷交代浴の需要に応える(写真:tune)
ソロサウナtune店内。400mm口径のオーバーヘッドシャワーを備える。チラー(冷却器)によって水温を10~15度前後に維持し、温冷交代浴の需要に応える(写真:tune)
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