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 日本のロボットの歴史に、ひとつの幕が下ろされた。2022年3月末、ホンダの人型ロボット「ASIMO(アシモ)」が日本科学未来館における動作デモンストレーションを終了し、同館からの「卒業」が発表されたのである()。ホンダはASIMOの開発を終了していた。

図 人型ロボット「ASIMO(アシモ)」
図 人型ロボット「ASIMO(アシモ)」
2022年3月末、日本科学未来館を「卒業」した。(出所:日本科学未来館)
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 残念ながら、もはや「一般の人々がASIMOの動く姿を見る機会はない」(ホンダ)という。ASIMOはおよそ20年にわたる「科学コミュニケーター」としての役割を終え、「モビリティリゾートもてぎ」(栃木県茂木町)の敷地内にある「ホンダコレクションホール」に収蔵される。

 一般向けの動作デモは終了したものの、ホンダは同社の研究所内で引き続きASIMOを動かしながら、ロボティクスの関連研究に取り組むとしている。

 「20年もの長きにわたって親しまれたロボットは他に見当たらないのではないか」――。ASIMOの「卒業」について聞くと、あるロボット企業のトップはこう心境を明かした。確かに、途中で何度かの改良が加えられながらとはいえ、ここまで長く活躍した実在のロボットは、他にないかもしれない。