PR

「デジタル開発部のような部署はいらなくなる」のが理想

 高木氏はスクラムマスターの役割の1つを通訳と表現する。例えば事業を知る人とプログラムができる人のインタフェースとなって互いの「言語」を「翻訳」し、円滑な意思疎通を促すことを指す。「企画担当もプログラマーも1つの部屋にいるとき、お互いの“言語レベル”が合っていないので、そこの間に(高木氏が)入ってチーム全体を回すという構造が今回はうまくはまった」と高木氏は語る。

スクラム開発中の様子。ホワイトボードにやるべきことなどを書いてチームで共有する
スクラム開発中の様子。ホワイトボードにやるべきことなどを書いてチームで共有する
(出所:ベネッセコーポレーション)
[画像のクリックで拡大表示]
スクラム開発中の様子。付箋で情報を共有
スクラム開発中の様子。付箋で情報を共有
(出所:ベネッセコーポレーション)
[画像のクリックで拡大表示]

 3月のバージョンアップを経て、サクスタへのアクセス数は順調に伸びているという。「使いやすくなった」という会員の声も届いた。「第一段階としては結果が出ていると思っている。今後はいかにリアルタイムにお客さんの意見を拾って深掘りできるかが課題」だと高木氏は話す。

 もちろんデジタル開発部の案件はサクスタだけではないが、当初は小さな案件をこなすことが多かった。15万人の会員が学習というミッションクリティカルな用途で使うサクスタのような主要アプリを無事リリースし、評価を得られたことでデジタル開発部にとって第1弾の成功例となった。

 今後はこの成功例に続く事例をどう作っていくか。同案件に携わったデジタル開発部プラットフォーム課グループリーダーの藤井大助氏は、開発手法であるスクラムを採用するにあたって、「チーム内で横断的にこういう作法でやりましょうということはできても、事業視点を持って、技術も分かり、調整もできるようなデジタル人材が少ない」と話す。こうした人材を社内で育成しつつ、外部からも積極的に採用する計画だ。

 保本部長は「(アジャイル開発の)経験知を積んだメンバーを増やして、それを伝承していく」ことが一発屋で終わらないためにも大事だと説く。一方で事業部側は仕事との関わり方をウォーターフォール型開発のときのような「要件を出しました。後はお願いします」ではなく、どんどん改善していき、それにずっと付き合っていくアジャイル型に変えていく必要があるとする。

 「何年か先にデジタル開発部のような部署は要らなくなると思う。事業側で紙の教材を作るのと同じように、デジタルの教材やサービスを編集者レベルが作れるようにしていかなければならない。それが当社のデジタルトランスフォーメーションだと思う」。保本部長はこう続ける。既存組織の触媒となってデジタル化を進める組織となりいずれは発展的解消を遂げるのか、はたまたデジタルの一発屋として終わるのか。今後の同社のサービス展開を注視したい。