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 「最高点を獲得しているのに、なぜ総合評価が低いのか」──。日本の自動車アセスメントプログラム「JNCAP」の安全性能評価(2022年度)における、マツダの中型SUV(多目的スポーツ車)「CX-60」の結果を見たときの素朴な疑問です。

 国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)が2023年3月1日に発表したCX-60の評価結果によると、同車は衝突安全性能試験と予防安全性能試験などを合わせた総合得点で、188.68点(199点満点で得点率は94.8%)を獲得しました(図1)。

CX-60
図1 マツダの中型SUV「CX-60」
(出所:マツダ)
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 JNCAPの安全性能評価については、2023年4月26日までに13車種の結果が公表されています。この中で、CX-60は総合得点で首位となり、2位のトヨタ自動車の中型ミニバン「ヴォクシー/ノア」の総合得点を約2点上回っています。

 冒頭で筆者が疑問を持ったのは、2位のヴォクシー/ノアが総合評価で「五つ星(最高評価)」を獲得しているのに、首位のCX-60はなぜ「四つ星」評価にとどまったのかという点です()。

JNCAPの安全性能評価の結果(2022年度)
表 JNCAPの安全性能評価の結果(2022年度)
(出所:2023年4月26日までのNASVAの発表資料を基に日経Automotiveが作成)
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 3位のSUBARU(スバル)とトヨタ自動車の電気自動車「ソルテラ/bZ4X」から、8位のトヨタの中型車「カローラ クロス」までの6車種も五つ星となっています。この疑問を解くカギは、CX-60の衝突安全性能試験の結果にありました。

 JNCAPの安全性能評価では、予防安全性能(91点満点)と衝突安全性能(100点満点)、事故自動緊急通報装置(8点満点)のそれぞれの得点を合計して星の数を決めます。五つ星を獲得するには、予防安全性能と衝突安全性能で最高評価(Aランク)を取得し、かつ事故自動緊急通報装置を備えていることが必要になります。