プログラミングの力を評価、ランキングすることによりITエンジニアのスキルを誰にでも分かるよう可視化して、転職活動や新卒就活を支援するサービスが人気になっている――。そんな話を聞いてとても興味を持った。
今やDX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させようと、ユーザー企業やITベンダーだけでなく、霞が関の省庁や自治体など行政もIT人材争奪戦に参戦している。だが、ITベンダーにおんぶに抱っこだったユーザー企業や霞が関は、ITエンジニアの「能力」を見極める力を失っているのではないか、もしそうなら新たなマッチングの手法が必要なのではないか、そんなふうに考えていたからだった。
DXの勢いは衰えず、人材争奪戦はまだまだ続くと感じている。調査会社IDC Japanが2021年2月に公表した国内ITサービス市場予測によれば、2021年の成長率は前年比3%を超える見込みで、2020年の同2.8%減から一気にV字回復を遂げそうだという。
2020~2025年の年間平均成長率も2.4%に高まった。ここ数年の1%台と比較すると、数字の上では「1ポイント」の違いだが、報道ベースで見る限り明らかにデジタルやDXの話題が増えている。市場規模は2025年に6兆4110億円に達する見通しで、新型コロナ禍でDXへの取り組みが加速した感もあり、上振れする可能性もあるのではないだろうか。
40万人が登録、2100社が利用
そこで本題のスキル可視化サービスだ。今回取材したのはIT人材の「転職」「就職」「学習」を支援するサービスを手掛けるpaiza(パイザ)である。サービス登録者は累計40万人を突破した。40万人の内訳は約6割が社会人エンジニアで、残り約4割が就活生を含む学生だ。
paizaの特徴はいずれのサービスもプログラミング能力をオンラインで可視化する「スキルチェック」をベースにしている点。JavaやPythonなど15言語で能力を診断できる。「ライブラリーをどれだけ知っているかという知識ではなく、計算量を少なくするといったアルゴリズムを考えて実装できる力を診断する。言語ごとの差異をなくすようにしている」(paizaの片山良平社長)。
診断レベルは、ユーザーのうち上位2%のS(超上級)、同8%のA(上級)、同30%のB(中級)、同60%のC(初級)、その下がD(超初級)である。さらに下となるEは再チャレンジを促されるレベルだ。「Sランクの問題を解くにはコンピューターサイエンスに加えアルゴリズムの知識も欠かせない」(片山社長)。