2017年末、記者の娘が米サンフランシスコ市内の病院で生まれた。それから4カ月。シリコンバレーで育児に励む中で、様々な「赤ちゃんテック」には大いに助けられた。日本の読者には珍しい製品もあると思われるので、いくつか紹介しよう。

 娘が生まれた直後に、ベビー用品店で衝動買いした製品がある。赤ちゃん用IoT(Internet of Things)ソックスの「Owlet」だ。寝ている赤ちゃんの足にセンサー付きのソックスを取り付け、心拍数と血中酸素濃度を常時計測する。センサーが収集した情報はBluetooth経由で「ベースステーション」に送信し、ベースステーションが赤ちゃんの体調を色で示す。問題が無ければ緑色の光がゆっくり点滅し、何か異変が生じたら赤く点灯する。

写真●IoTソックスの「Owlet」
写真●IoTソックスの「Owlet」
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写真●Owletのベースステーション
写真●Owletのベースステーション
色で赤ちゃんの体調を教えてくれる
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 ベースステーションはWi-Fi経由でOwletのサーバーと通信しており、赤ちゃんの情報はスマートフォンアプリケーションからも確認できる。また何か問題が発生した場合は、スマホアプリにも通知が行く仕様だ。価格はちょっとお高い299ドルだが、ベビー用品店の「Buy Buy Baby」で見かけて衝動買いしてしまった。

写真●Owletのスマホアプリ
写真●Owletのスマホアプリ
心拍数や血中酸素濃度が分かる
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 子育てを始めて大いに戸惑ったのは、自分が眠ることに恐怖を感じてしまうことだった。「寝ている間に娘の身に何か起きたらどうしよう」とドキドキしてしまい、何度も何度も娘の寝息を確認した。自分が寝ている間に娘がミルクを吐き戻していたのを確認した時には、胸が締め付けられるような気持ちになった。今思えば、ノイローゼ一歩手前になっていたのだと思う。Owletはそんな心配性の親に、安心感を与えてくれるデバイスだ。

IoTに音声アシスタント、流行はどんどん取り込む

 実は米国では、赤ちゃんを親と別の寝室で眠らせる家庭も多いのだという。Owletはそうした米国ならではの育児事情に対応した製品でもある。開発元の米オウレット・ベビー・ケア(Owlet Baby Care)は2013年の設立で、累計で2300万ドルの資金調達をしている。赤ちゃん用IoTデバイスが既に市民権を獲得しようとしている。

 Buy Buy Babyは日本で言うところの「赤ちゃん本舗」のような郊外型ベビー用品店だが、シリコンバレーで働くテック好きの両親のハートに刺さるような赤ちゃん用品を数多く取り扱っている。例えば、「Project Nursery Smart Nursery Baby Monitoring System」という、米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)の音声アシスタント「Alexa」に対応した「赤ちゃんモニタリングシステム」。寝室で寝ている赤ちゃんを撮影するモニターカメラを、Alexaを搭載したスマートスピーカーから操作できるのだという。赤ちゃん用品のAlexa対応が始まっていることには大いに驚いた。

写真●ベビー用品店で見かけたAlexa対応「赤ちゃんモニタリングシステム」
写真●ベビー用品店で見かけたAlexa対応「赤ちゃんモニタリングシステム」
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