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 現金を使うことがめっきり減った。4月6日にコンビニATMで出金して以来、今月はATMを利用していない。財布を開いてみても、まだ1~2週間は生活できるくらいの現金が残っている。

 過去の履歴を遡ってみると、1カ月に1度も現金を引き出していない月もあった。決して1度に大金を下ろしているわけではない。この1年を振り返って大金を持ち歩いたのは、家電を買うために20万円を引き出し、そして落としたときくらいである。

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 世の中は、キャッシュレスブームだ。試しに自分のキャッシュレス比率を計算してみることにした。算出方式はいたって単純。ATMで引き出した金額を分子、その現金をほぼ使い切りATMを次に利用するまでの期間に支出した総額を分母にすれば、ざっくりではあるが現金利用比率が把握できるはずだ。

 過去半年で最もATM利用が少なかった2018年1~3月で試算してみた。新年明けて最初にATMを利用したのが1月30日。次にATMを使ったのは3月17日。その期間の現金比率は11.1%だった。つまりキャッシュレス比率は88.9%だ。想像以上にキャッシュレスな生活を送っているようだ。

珍しくも新しくもないキャッシュレス

 日本は現金大国と言われる。経済産業省が2018年4月に公表した「キャッシュレス・ビジョン」を見れば明らかだ。キャッシュレス決済比率は韓国が89.1%と飛び抜けて高く、中国の60.0%、カナダの55.4%が続く。米国は45.0%で、インドは38.4%。これに対して日本は18.4%にとどまる。

 政府はキャッシュレス・ビジョンの公表に合わせ、キャッシュレス決済比率を40%に引き上げる目標を当初の2027年から2025年に前倒しした。同比率が2006年から2016年までの8年間で8%しか上昇していないことを鑑みると、野心的な目標だ。時期は定めていないものの、「世界最高水準のキャッシュレス決済比率80%を目指す」ことも明記した。取材をしていても、政府の強い意気込みを感じる。

 “キャッシュレス”というと、新しいライフスタイルのように響くかもしれない。ただ筆者が主に使っているのは、クレジットカードと電子マネーだ。多くの方が1枚は所有していると思うし、決して珍くも新しくもない。

 電子マネーは2001年に「Edy」がスタートし、同時期に「Suica」もサービスを開始した。クレジットカードにいたっては、丸井が1960年に発行している。にもかかわらず、なぜキャッシュレス化が進まないのか。

 しばしば鶏と卵の関係が指摘される。キャッシュレス決済を使う人が増えなければ、受け付ける場所は増えない。一方で使える場所が増えなければ、使う人は増えない。話が堂々巡りになってしまうわけだ。