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 梅雨が近づいてきた。毎年のように繰り返される豪雨による土砂災害。2021年は、静岡県熱海市で土石流が発生し、30人近くが犠牲になった。

 土石流の起点にあった盛り土は、地下水の集まりやすい谷に造られていた。ずさんな施工で排水状態が悪かったうえに、数日にわたる大雨で大量の地下水が供給され、大規模な崩落が起こったとみられている。

2021年7月に静岡県熱海市で発生した土石流の起点付近。災害当日の様子(写真:静岡県)
2021年7月に静岡県熱海市で発生した土石流の起点付近。災害当日の様子(写真:静岡県)
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 政府はこの惨事を受け、盛り土対策を強化。宅地造成等規制法を抜本的に見直す改正法案(盛土規制法案)を22年3月に国会に提出した。

 法案を審議した22年4月6日の衆院国土交通委員会で、立憲民主党の小宮山泰子議員は、「熱海市の被災現場を視察した際に、盛り土で地下水の流れが見えにくくなったとの説明を受けた」と語り、地下水の状況を把握する観測井の設置について、国土交通省の見解を尋ねた。

 斉藤鉄夫国交相は、「盛り土の安全性は地下水により大きな影響を受ける」と述べたうえで、次のように答弁した。

 「盛り土の造成後も継続的に地下水の状況を把握するためには、観測井を設置し、中長期的に水位などの観測を行うことも考えられる。盛り土の技術基準や安全対策を議論する有識者会議で、観測井の取り扱いも含め、検討していきたい」