NTTドコモの「ahamo(アハモ)」、KDDI(au)の「povo(ポヴォ)」、ソフトバンクの「LINEMO(ラインモ)」、楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT VI」といった通信大手各社の新料金プランが、2021年3~4月に相次いで提供開始された。2018年8月の菅義偉官房長官(現首相)の「4割値下げ」発言以降、政治に翻弄されながら対応に奔走してきた通信各社にとって、今春の新料金は決定版ともいえる対応策だ。ただ記者は、家計の負担という意味では必ずしも軽減されたとはいえないと感じており、事業者側と消費者側の認識のずれが大きくなることを懸念している。
「4割値下げ」発言以降、通信各社は段階的に料金プランの改定を進めてきた。例えばドコモの場合、2019年4月に定額制の「ギガホ」と従量制の「ギガライト」を発表し、同年6月から提供している。月額基本料とパケット料、「spモード」などのISP利用料をセットにして分かりやすくしたほか、スマートフォンの本体価格と通信料を分離するなどした。
2020年12月にはahamoを発表したほか、大容量プランを「ギガホ プレミア」に改定して4G(第4世代移動通信システム)で600円、5Gで1000円値下げすると発表。ahamoは2021年3月、ギガホ プレミアは同年4月に提供を始めている。auやソフトバンクも提供時期やプランの詳細に多少の違いがあるものの、ドコモと同様のコンセプトの料金プランを提供している。
では、一連の料金改定で消費者の支払額はどう変化したのか。市場調査会社のMM総研が調べた大手3社のスマホ利用者の平均月額料金(端末価格の分割払い相当分を除く)は、2018年9月調査では5680円、2019年2月調査では5575円と月額5000円台だったが、直近の2020年12月調査では6378円と増えてしまっている。「大手3社が5Gの商用サービスを始めたことなどにより通信料が上振れしたのではないか」(MM総研)としている。