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 木材の需給が逼迫して価格が高騰する“ウッドショック”に、住宅業界が強い危機感を抱いている。2021年3月の新設住宅着工戸数は21カ月ぶりに増加に転じたにもかかわらず、注文した木材が現場に届かない、プレカット会社が見積価格や納期を示せないといった状況が、同年3月末から頻発しているからだ。

 ウッドショックが発生した原因は一般に、米国内での新築住宅需要の増加や木材相場の変動、中国の経済回復などに伴う木材需要増、コンテナ不足といった国外の事情で、日本向けの輸入材と原木の供給量が大きく減ったことにあると説明されている。

 だが、根本的な発生原因は、輸入材に依存し過ぎた家づくりにあると筆者は考える。19年の木材需給表によると、日本で建築に使われている製材用材の自給率は約51%、合板用材の自給率は約45%だ。

 建築の部材ごとの自給率を示した公的なデータはないが、梁(はり)材と柱材の自給率はもっと低いとみられる。参考となるのが、日本木造住宅産業協会が会員を対象に実施した19年の調査結果だ。梁材(横架材)の国産材使用率はわずか10%(集成材と製材の合計)、柱材は42%(同)。羽柄(はがら)材の50%(同)や構造用合板の81%(同)と比べて、梁材と柱材の国産材使用率が著しく低いことが分かるだろう。

在来軸組工法の住宅における部材別木材使用割合。日本木造住宅産業協会が会員を対象に実施した調査に基づく。国産材と輸入材の異樹種混合の集成材と合板は、国産材として計上している(資料:「木造軸組構法住宅における国産材利用の実態調査報告書(第5回、2019年)」を基に林野庁が作成)
在来軸組工法の住宅における部材別木材使用割合。日本木造住宅産業協会が会員を対象に実施した調査に基づく。国産材と輸入材の異樹種混合の集成材と合板は、国産材として計上している(資料:「木造軸組構法住宅における国産材利用の実態調査報告書(第5回、2019年)」を基に林野庁が作成)
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 このように、日本は先進国でも有数の森林保有国でありながら梁材と柱材の自給率が低く、生産体制が脆弱であるため、輸入材の不足分を補えず混乱に陥っているのだ。

 木造住宅は部材が1本足りないだけで建てられなくなる。家づくりで用いる梁材や柱材など全ての部材を、国産材を使って安定価格で安定供給できる体制の構築こそが、ウッドショックの早期解決と再発防止のためには欠かせない。

 それにつながる取り組みを、大手分譲住宅会社3社がスタートさせた。三栄建築設計(東京・新宿)、オープンハウス、ケイアイスター不動産が21年4月13日に共同で設立した「日本木造分譲住宅協会」だ。ウッドショック対策のために設立した組織ではないが、国産材を安定価格で安定供給することを設立の目的に掲げている。

21年4月13日の日本木造分譲住宅協会の設立発表会の様子。左から、オープンハウスの荒井正昭社長、三栄建築設計の小池信三社長、ケイアイスター不動産の塙圭二社長(写真:日経クロステック)
21年4月13日の日本木造分譲住宅協会の設立発表会の様子。左から、オープンハウスの荒井正昭社長、三栄建築設計の小池信三社長、ケイアイスター不動産の塙圭二社長(写真:日経クロステック)
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 3社の代表がそろった協会の設立発表会で目を引いたのは、国内の原木生産事業者や製材会社などのサプライヤーと直接手を組み、生産コストを適切に審査したうえで、適正価格で継続的に購入できる仕組みをつくると打ち出したことだ。サプライヤーに対し、人材育成や技術提携、生産性を高める設備の導入補助などの支援も行うという。

 さらに、サプライヤーとの間で独自のサプライチェーンを構築し、国産材のトレーサビリティーの確保も進める。3万3000m3分の樹木を毎年植林し続けると明言したことも見逃せない。3万3000m3とは、3社の分譲住宅で1年間に使用する国産材の調達量に相当する。利用した分を山に還元する取り組みだ。

 協会ではこうした活動によって、「カーボンオフセット」や「カーボンニュートラル」を推進し、国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)で提示している17項目の目標のうち、11項目の達成を目指すという。分譲住宅における国産材の利用状況は、会社によって異なる。そのため、まずは可能な範囲で国産材への仕様変更を進めていく。