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 車載OS(基本ソフト)「QNX」を手がけるカナダBlackBerry(ブラックベリー)が自動車向けデータ基盤の整備に力を入れている。2020年12月に米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)傘下の同Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)との共同開発を発表し、21年3月には関連するベンチャー投資基金を設立した。

経営企画担当シニアバイスプレジデントのヴィト・ジアロレンゾ氏
経営企画担当シニアバイスプレジデントのヴィト・ジアロレンゾ氏
(出所:ブラックベリー)
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 自動車向けデータ基盤の価値は、そこにつながる車両の台数によって大きく左右される。ブラックベリーがAWSと共同開発するデータ基盤「IVY(アイビー)」は、現時点では参画する自動車メーカーが明らかになっておらず、車両の台数も不明だ。ただ、20年12月の発表以来、「ほぼすべての自動車メーカーがIVYに興味を示してくれている」とブラックベリー経営企画担当シニアバイスプレジデントのVito Giallorenzo(ヴィト・ジアロレンゾ)氏は話す。

 中でも、自動車メーカーやブランド、車種の違いを越えて、世界中の車両データに簡単にアクセスできる構想への期待は高いという。「より多くの開発者がIVYに参画し、ソリューションや価値を生み出していけば、消費者の満足度は高まり、使えるデータも増えていく。閉鎖的だった車両データの民主化(デモクラタイズ)につながり、大きな価値が生まれる」(同氏)と説明する。

 IVYはAWSと共同開発しているが、AWS以外のクラウドも使っていくことが契約に盛り込まれているという。車載OSもQNXに限定していない。自動車メーカーのニーズに柔軟に対応するためにも、特定の技術にしばられないオープンな基盤を目指す考えだ。

 大手自動車メーカーの中には、データ基盤を自前で構築する動きがあるが、「自前で作ることにはデメリットが多い」(同氏)と主張する。競合他社の車両データを扱うことが難しく、データの規模を拡大しにくいためだ。「車両データにアクセスする仕組みはIVYのような外部サービスを利用し、自動車メーカーは最終消費者の満足度を高めることに注力すべきだ」(同氏)と述べる。