市民がテクノロジーを活用して、社会や地域が抱える課題の解決を目指す取り組みを「シビックテック」という。今、北海道から沖縄県まで各地域でシビックテックが盛り上がりを見せる。少子高齢化や人口減少などの地方都市の課題と、それに対する各地域での解決手段を共有する場として関連イベントは意義がある。地域の課題解決の糸口になる可能性を秘めるからだ。
記者は2022年4月16~17日、コード・フォー・ギフなどを中心とした日本各地のブリゲードの有志で構成する「シビックテックミートアップ2022 いざ岐阜へ」実行委員会主催のミートアップに参加した。地域のシビックテックコミュニティーを「ブリゲード(Brigade)」と呼ぶ。
九州で生まれ学生時代を過ごした記者自身、地方都市におけるITやデジタルの浸透の理想形とは何か、疑問と課題意識を抱いている。その中で、地方都市の課題解決手段の1つがシビックテックだと考える。そこで、地域で活動する人が抱いている課題や具体的な取り組みについて知るため、岐阜市でのイベントに参加した。
他地域へ展開できるアプリのヒント
ミートアップにはシビックテックプロジェクトに関わる人から関心のある人まで、日本国内各地のブリゲードから約40人が参加した。それぞれの地域でのシビックテック活動を発表したり、1対1の交流会で対話したりする内容などがあった。
発表では、人口減少や高齢化、教育、選挙など様々な地域課題に対しての取り組みが紹介された。
例えば金沢市を中心に活動する「コード・フォー・カナザワ」では、石川県知事選や金沢市長選の立候補予定者の政策を分かりやすく表示するアプリ「石川選挙ナビ」を開発した。地場産業や働き方・雇用、新型コロナウイルス対策、行政サービスといった15の分野の政策を比較できる。市民や県民の選挙への関心を高めることが狙いだったという。
立候補予定者自らが政策について項目ごとに入力できるよう、記入する定型のフォーマットを作成しており、立候補予定者は記入するだけで、「石川選挙ナビ」に情報が反映されるという仕組みだ。アプリは米Glide(グライド)が提供するノーコードツールのGlideで構築している。そのため、人やスキルなどの開発リソースに依存せずアプリの構築が可能になり、他地域への展開のハードルも下がる。海外と比較して投票率が低いとされる日本で、投票に関心を持った場合の重要な情報源になりうると感じた。