ソフトバンクとトヨタ自動車のMaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)連合が「ゴーン・ショック」に絡む思いがけない悩みに直面している。カルロス・ゴーン元会長の事件に揺れる日産自動車と仏ルノーの経営権を巡る争いの影響を受ける可能性が出てきているのだ。日産とルノーの交渉の行方が日の丸MaaS連合に影響を及ぼすかもしれない。
ソフトバンクとトヨタは2018年9月、共同出資でMONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)を設立した。車や鉄道、バス、タクシーといった交通手段を組み合わせて移動の利便性を高める「MaaS」のプラットフォームを日本主導で作り上げる狙いだ。
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は「モビリティーのトヨタとAIのソフトバンクが提携し、新しい時代のモビリティーを生み出す」と力を込める。トヨタの豊田章男社長も「自動運転時代に向かうなかで(車を造って売る)自動車会社でいいのか」と打ち明ける。
両社はモネ・テクノロジーズを通じて2020年代半ばまでに、トヨタのモビリティーサービス向け電気自動車(EV)を使って、移動中に料理を作って宅配したり、診療をしたりする青写真を描く。すでに愛知県豊田市などの自治体と業務連携協定を結び、次世代のモビリティーサービスの実装に向けて実証実験を展開している。
陣営も着実に広げている。モネ・テクノロジーズは2019年3月、ホンダと日野自動車から出資を受けると発表した。それぞれ約2億5000万円を出資し、10%弱の株式を取得する。モネ・テクノロジーズはホンダや日野に限らず、他の自動車メーカーからも出資を募る方針だ。