全2876文字
PR

 「(株式購入が禁止されている)記者が“カブ”を買えるのは『あつ森』だけですからね」。同僚記者のそんな一言に背中を押されて、「あつ森」こと、任天堂のゲーム『あつまれ どうぶつの森』を購入した。しかも、あつ森のために「Nintendo Switch Lite」も併せて買った。

購入した「Nintendo Switch Lite」とあつ森のホーム画面。(c)2020 Nintendo(撮影:日経クロステック)
購入した「Nintendo Switch Lite」とあつ森のホーム画面。(c)2020 Nintendo(撮影:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 あつ森では、ユーザーが操作するキャラクターが無人島に移住して生活する。そこで、釣りや虫取りをしたり、好きな衣服や家具といったアイテムを買ったり、作ったり、自宅の部屋を模様替えしたり、ガーデニングしたりといった生活を送る。ゲーム内の時間の流れは、現実とリンクしており、朝であればゲーム内でも朝、夜であればゲーム内で夜になる。無人島には他のゲームキャラクターも移住し、だんだんとにぎやかになってくる。加えて、あつ森のユーザー同士で、島を行き来して交流できる。

 カブは、あつ森の特徴の1つで、同ゲーム内の通貨(単位は「ベル」)で購入できるアイテムだ。ある条件(特別ではない)を満たすと、日曜日の午前中に島に訪れる「ウリ」と呼ばれるキャラクターから購入できる。購入したカブは、島にある店で売却できる。店でのカブの買い取り価格は、日にちだけでなく、午前と午後で変わる。安く買って、高いときに売ればベルを稼げる。なので、あつ森における「株(カブ)」というわけだ。

 ただし、株券と違い、野菜のカブなので、購入して1週間経つと腐ってしまい、価値がなくなる。任天堂らしいユニークな発想である。しかも、カブの買い取り価格は島ごとに異なるので、買い取り価格が高い別のユーザーの島に行って売ればもうかる。ユーザー同士の交流を促す仕組みだ。

 と、さも詳しいかのように書いているが、どうぶつの森シリーズを購入したのは、今回が初めて。年季の入ったファンにとって、筆者は赤子も同然だ。それだけに、さまざまな発見や驚きがある。

どうぶつの森は新しいコミュニケーションツール

 どうぶつの森は人気シリーズで、任天堂のさまざまなゲーム機に向けて発売されてきた。だが、同シリーズにはボスを倒すなどの分かりやすい目標がないことや、自由度が高過ぎる点などに苦手意識を持っていたため、これまでプレイしてこなかった。それでも今回、購入に至ったのは新型コロナウイルスの影響による外出制限が大きい。

 シリコンバレー支局があるパロアルトが属するカリフォルニア州サンタクララ郡では、3月17日から「Shelter in Place」と呼ばれる外出制限が実施され、遊びにも行けず、人にも気軽に会えなくなった。支局長とも2カ月くらい会っていない(仲が悪いわけではない)。そんな状況下なので気晴らしと、新しいコミュニケーションツールとしてあつ森を購入した。

 どうぶつの森シリーズはもともと人気があるが、筆者のように「巣ごもり」せざるを得ない状況を契機に、購入した人は多かったのかもしれない。売れ行きは絶好調だ。任天堂が2020年5月7日に発表した19年度通期(19年4月~20年3月)の連結決算によれば、あつ森の出荷本数は、Switch本体の同梱版やダウンロード販売を含めて1177万本だった。あつ森の発売日は20年3月20日。すなわち3月31日のわずか12日間で1200万本近くを出荷したことになる。その後も売れ続けて、日米欧3地域の実売数は、発売から6週間で累計1341万本に達した。携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」用の『とびだせ どうぶつの森』の累計実売数をあっさりと超えた。

あつ森の実売状況。任天堂の決算説明資料から抜粋
あつ森の実売状況。任天堂の決算説明資料から抜粋
[画像のクリックで拡大表示]