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 工場フロアの生産設備に並べて置いてある飲料用の自動販売機(自販機)。ところが中に入っているのは飲料ではなく、クリームはんだの小瓶だ。OKIネクステック(埼玉県所沢市)の小諸事業所(長野県小諸市)、プリント回路基板(PCB)を造る工場の一角の風景である。

OKIネクステック小諸事業所のクリームはんだ自動販売機
OKIネクステック小諸事業所のクリームはんだ自動販売機
ライン先頭、部品倉庫近くに設置してある。向かって右隣にかくはん機。(出所:日経クロステック)
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 同事業所は、情報システム機器や通信機器の受託生産と、これらに内蔵するPCBの生産を手掛ける。OKIグループのATMや通信装置に組み込むPCBのほとんどを生産しているという。

 この自販機があるのはPCB表面実装ラインの先頭部分で、部品倉庫の近くである。クリームはんだが入っている容器は、ちょうどジャムや、つくだ煮類の小瓶程度の大きさ。従業員はクリームはんだが必要になると、自販機でクリームはんだを買って、かくはん機に容器ごと入れて温度を調整したのち、クリームはんだ印刷機に補給する。

中古自販機を利用すべき3つの理由

 自販機は、もともと飲料用だった中古品を入手してきて転用した。クリームはんだの保管と払い出しに飲料用自販機を利用している理由は3つある。

 第1に、飲料用自販機には商品である飲料を低温に保つ機能がある。クリームはんだも5~10℃程度での低温保管を必要とする。冷蔵庫を使っても同じに思えるが、冷蔵庫では取り出し時に従業員による扉の開け閉めで庫内の温度が変動しやすい。ところが自販機なら、容器が通るだけの大きさの扉が自販機内部で開くだけ。冷蔵庫よりも温度変化の少ない管理を徹底できる利点がある。

 第2に、先入れ先出し管理に向く。クリームはんだは有機物を多く含んで使用期限があり、なるべく入荷した順番通りに消費していく必要がある。この点も飲料に似ており、自販機は先に投入したものから販売する構造になっているため、普通に運用すれば自然と先入れ先出し管理ができる。

 第3に、売り切れランプによって在庫切れが分かり、発注点管理が容易になる。完全に在庫がなくなってから発注するのでは欠品が生じてしまうから、運用の工夫は必要になる。OKIネクステック小諸事業所では、自販機の複数のボタンに同一種類のクリームはんだを割り当てており、幾つかの売り切れランプが点灯したら補充分を発注するようにした。複数のボタンのうち「今はこのボタンを使う」とルールを決めて、全員がその同じボタンを押すように運用している。売り切れたらその右のボタンをやはり全員が押す、というようにして、自販機内の在庫が全部なくなる前に発注できるようにした。

複数ボタンに同じクリームはんだを割り当てている
複数ボタンに同じクリームはんだを割り当てている
ただし、払い出し時は全員が同じボタンを押す。左上の5つのボタンのうち、4番目を使うよう矢印が貼ってある。(出所:日経クロステック)
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 要するにクリームはんだは、ちょうど飲料と同程度に“生もの”といえるから、飲料用自販機はクリームはんだの管理に最適。生ものとしての性質を持つ資材、すなわち使用期限があって低温管理が必要なものであれば、他にも中古自販機を活用できる可能性がある。