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 この3年ほど、建築のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)について取材したり、情報収集したりする機会が多い。日経アーキテクチュア2020年5月14日号では、「BIM再入門」と銘打って特集記事を掲載した。BIMについての大がかりな記事は3年振りだ。最近は、部分的なBIM利用も含め、様々な工夫が見られるようになった。

 その1つが、複雑な構造体や斬新な外装などを実現するために、BIMモデルを材料の製作までつなげる試みだ。その際、3次元(3D)モデリングソフトのRhinoceros(ライノセラス)と機能拡張ソフトのGrasshopper(グラスホッパー)によって建物の形態をスタディーし、形態が決まってからBIMでモデル化していく場合が多い。これら一連の流れをBIMプロセスと呼ぶことも増えているようだ。

 実は、この特集と同じ号の「フォーカス建築」欄で取り上げた「ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋」も、部分的にBIMを活用し、ファサードのガラスの製作につなげている。ルイ・ヴィトンによる国内最大級の店舗で、建築家の青木淳氏がファサードデザインを担当した。帆船の帆を思わせるガラスの外装が特徴だ。大小10ある“帆”は、3次元曲面を描く。

 設計・施工を大成建設が手掛け、外装の詳細設計と施工を旭ビルウォール(東京・台東)が担当した。取材時に、外装の最適化を図るキープレーヤーとして青木氏が紹介してくれたのが、旭ビルウォールの下で3Dモデリングを担当したシンテグレート(東京・中央)だ。

坂茂建築設計による「静岡県富士山世界遺産センター」(2017年)。静岡県の発注で、佐藤工業・若杉組JVが建築の施工を担当した。鉄骨の架構を木格子で覆って「逆さ富士」を築いた。シンテグレートは、設計者による3Dモデルを解析し、施工のほか、鉄骨や木材の製作条件に合致するモデルをつくり、施工会社と製作会社に必要に応じて情報を渡した(写真:シンテグレート)
坂茂建築設計による「静岡県富士山世界遺産センター」(2017年)。静岡県の発注で、佐藤工業・若杉組JVが建築の施工を担当した。鉄骨の架構を木格子で覆って「逆さ富士」を築いた。シンテグレートは、設計者による3Dモデルを解析し、施工のほか、鉄骨や木材の製作条件に合致するモデルをつくり、施工会社と製作会社に必要に応じて情報を渡した(写真:シンテグレート)
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 青木氏に話を聞くうちに、ピンと来た。2017年に坂茂氏の設計で完成した「静岡県富士山世界遺産センター」で、施工者の佐藤工業などからの依頼で、デザインモデルの解析から施工モデルづくりまで、施工BIMのマネジメントを手掛けた会社があった。それが、シンテグレートだった。「逆さ富士」を表現する外装の木組みでは、3Dモデルから木材製作用の3Dデータを作成。設計と施工、製作をつなぎ、複雑なファサードを実現するハブ役を果たした。

 今回の「ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋」での役割も同様だ。BIMソフトを用いてガラスの外装を解析し、製作しやすいように表面形状を再定義。ガラスを2次元曲げだけで製作できるように、青木氏らと打ち合わせしながら何度もフィードバックして、ガラスの形状や分割方法を決めていった。2次元曲げのガラスの集積で、3次元の曲面をつくれば、ガラスの製作コストは大きく抑えられるからだ。つくりやすさだけでなく、全体の意匠性を満足することも条件となる。

 ガラスにプリントする柄のパターンもデータ化している。ガラスメーカーなどには、それぞれが必要な形で情報を抽出して渡した。