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 キャリアに比べてMVNO(仮想移動体通信事業者)ではスマートフォンの通信速度が遅い──。これは一面では正しいが、一面では誤りといえる。MVNOのほうが、通信速度が遅くなる原因にはいくつか考えられる。だが、ちまたで取り沙汰される原因の中には、「迷信」と呼ぶべきものもある。

 現在筆者は、主に通信やネットワークに起因するiPhoneトラブルの対策について取材しているが、その過程でインターネットイニシアティブ(IIJ)から興味深い話を聞いた。TwitterなどでMVNOの通信が遅い理由について一般の利用者が独自の説を展開し、それがある意味言いっ放しとなって独り歩きしているという。

 そうした「迷信」を2つ紹介しよう。

 1つ目は、キャリアに比べMVNOは電波の周波数帯域が制限されており、このため通信速度が遅いというもの。IIJによると、こうした意見は少なからず散見されるそうだ。実際には、周波数帯域に関してキャリアとMVNOで違いはない。なぜこうした誤解が生じるのか。IIJによれば「帯域」の意味を取り違えているからだという。

 MVNOのインフラにおいて、帯域という用語は主に2つの意味で使われている。1つは、前述のように周波数帯域のこと。もう1つは、キャリア(MNO:移動体通信事業者)とMVNOを相互接続する光ファイバー回線(以下、相互接続回線)の帯域(伝送速度)を意味している。モバイル通信に詳しい人なら、文脈からどちらの意味で使われているのか取り違えることはないだろう。ところが、あまり詳しくない人は、相互接続回線の速度のことを周波数帯域と誤解してしまう。

 実際、MVNOのインフラ構成を見てみると、基地局などの無線設備については、キャリアとMVNOは共通しており、このことから周波数帯域については同じだと分かる。つまり、無線部分に関しては速度の違いには結び付かないということだ。

LTEにおけるMNOとMVNOの接続形態
LTEにおけるMNOとMVNOの接続形態
(出所:日経NETWORK 2019年5月号)
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